sumika、なぜバンドシーンで稀有な存在に? ユニークな取り組みとサウンドメイクを解説

 sumikaが新作『Fiction e.p』をリリースした。1stフルアルバム『Familia』(2017年7月)以来、約9カ月ぶりのリリースとなる今作には、リード曲「フィクション」(フジテレビ ”ノイタミナ”TVアニメ『ヲタクに恋は難しい』オープニングテーマ)、「いいのに」(J-WAVE(81.3FM)『WOW!TOKYO』12月キャンペーンソング)など4曲を収録。幅広い層のリスナーから支持を集めているsumikaらしい、バラエティに富んだ楽曲が揃っている。

【2018/4/25発売】sumika /「Fiction e.p」全曲試聴 teaser

  昨年11月に東京国際フォーラム ホールAでワンマンライブを成功させるなど躍進ぶりが目立つsumika。また、ポカリスエット(大塚製薬)やCRAFT BOSS(サントリー)といった企業CMにも起用されるなど、その知名度を着実に拡大させている。優れたポップセンスと個性的な活動スタイルで注目を集めている彼らのキャリアを改めて紹介したい。

 片岡健太(Vo/Gt)、荒井智之(Dr/Cho)、黒田隼之介(Gt/Cho)小川貴之(Key/Cho)からなるsumikaは「様々な人にとっての“sumika(住処)”のような場所になって欲しい」という願いを込めて、2013年に結成。「本当に好きなものを、好きな人に向けて、たくさん渡せるチームを作れるように」というコンセプトのもと、音源制作を行っている。2014年には自由参加型映像制作企画『Niwa cinema』(プロ、アマ問わず、sumikaの楽曲に映像を付ける企画)をスタート。また、購入者が自ら価格を設定して購入する投げ銭式のCDをリリースするなど結成当初からユニークな取り組みを行っており、現在のバンドシーンの中でも稀有な存在として着実に認知度を高めている。

sumika / 結成5周年のご挨拶

 4月10日に公開された結成5周年を振り返る動画「sumika結成5周年のご挨拶」でも、彼らの個性的な活動スタイルを知ることができる。ライブブッキング、ギャランティの交渉、グッズ制作などのスタッフワークを行うために会社「GREEN ATTiC」を設立。メンバー自らスタッフを公募して会社運営を活性化させ、CD音源の全国流通のために<murffin discs >とタッグを組み――といった経緯を丁寧に説明する姿からは、“sumikaの表現を届けるためにはスタッフワークが何よりも大事“、“ライブ、音源制作などすべての行程において、メンバー自身が関わる”という彼らの根本的なスタンスが伝わってくる。その中心にあるのは“バンドという枠を超え、sumikaというプロジェクトをスタッフ全員で育てる”というコンセンサス、そして、sumikaに関わるすべてを自らコントロールするDIY精神。あらゆる活動にメンバー自身の意志がしっかり反映されていることも、彼らの大きな魅力なのだ。

 2015年7月には片岡が体調不良のため声が出なくなるアクシデントにより長期離脱、片岡以外のメンバーでツアーを回るという事態に見舞われたが、11月にはライブに復帰。翌年3月にリリースされた両A面シングル『LOVERS/「伝言歌」』で第2章をスタートさせた。2016年5月には4枚目のミニアルバム『アンサーパレード』、12月に1st EP『SALLY e.p』をリリース。『MERRY ROCK PARADE』、『RADIO CRAZY』、『COUNTDOWN JAPAN』などの大型フェスにも出演し、卓越した演奏センスとコーラスワークを軸にしたステージングによって、各地のファンの注目を集めた。さらに2017年の初めにはバンド史上最大規模のツアー『sumika「SALLY e.p」Release Tour』を敢行、Zepp DiverCity TOKYOをはじめ全ての会場のチケットが即ソールドアウトした。5月には価格自由設定CD『Dress Farm #3』をリリース。全国流通盤で価格自由設定にしたことは史上初の試みとあり、大きな話題を集めた。そしてバンド初のフルアルバム『Familia』はオリコンアルバムチャートで5位を獲得。「Lovers」のMVは現在1000万回再生を突破しており、優れた音楽性を備えた楽曲、幅広い年齢層のリスナーを魅了するライブを軸にしたsumikaは、結成5周年を迎え、本格的なブレイクを手にしつつある。

sumika / Lovers【Music Video】

 sumikaの魅力の中心はもちろん、質の高いポップネスを備えた楽曲だ。ギターロック、スカ、ダブなどを自在に取り込んだバンドサウンド、RPGゲームのワードと前向きなメッセージを込めた歌詞が印象的な「ふっかつのじゅもん」、まるでミュージカルのような華やかさをたたえたアレンジのなかで、愛する人たちとの関わり方を描いた「Lovers」、カラフルなストリングス、ジャジーなピアノを取り入れたオーガニックなサウンドによって“ポップソングの魔法”を体現する「MAGIC」。これらの代表曲をチェックするだけで、このバンドの豊かなポップセンスを実感してもらえるだろう。

sumika / ふっかつのじゅもん【Music Video】

関連記事