「宗像明将の現場批評〜Particular Sight Seeing」第41回 『妄想キャリブレーション47都道府県ツアー〜大声出そうぜ。MOSO MAX〜』東京公演

妄想キャリブレーション、東京公演で見せた“47都道府県ツアー”の意義

 桜野羽咲は東京公演について「今までのどのワンマンライブよりイメージできた」と語り、水城夢子はツアーについて「終われないんじゃないかとずっと思ってた」「みんなのことを大好きになった」と述べた。星野にぁは「ちゃんと自分のことをさらけ出せるようになったなと思います」と語り、雨宮伊織は「この妄想キャリブレーションがいいと言えるようになったのは47都道府県ツアーのおかげです」と述べた。胡桃沢まひるは「このメンバーじゃなかったら回れてなかったんじゃないかと思います」と語り、「みんながいてくれたおかげで私たちはこんなに大きくなれました」と謝辞を述べた。

 そして、「歌詞が夢を追いかけてる5人とリンクしている」という理由で、最後のカバーとしてLittle Glee Monster(原曲:FUNKY MONKEY BABYS)の「あとひとつ」が歌われた。

 終盤は、「YOUをちぇっくします!」「only my railgun」「妄想花吹雪」「激ヤバ∞ボッカーン!!」「back stage」とたたみかける。特に「激ヤバ∞ボッカーン!!」で、フロアがジャンプの嵐になる光景は壮観だ。

 アンコール前には、全国各地で撮影された映像が流され、その映像がモノクロになると、ステージで雨宮伊織がピアノの生演奏をはじめた。他のメンバーもステージに出てきて歌唱したのは、雨宮伊織作曲による「五線譜」。アンコールでは「旅は君連れ世は情け」が再び歌われたが、「私たちにしか作れない歌」と語られていたのは説得力があった。

 ダブルアンコールは、同じく2回目の「Hey Yo!」。ステージ前方のお立ち台を使って、メンバーが一列に並んで歌う光景は鮮烈だった。

 振り返れば、妄想キャリブレーションのこの1年は決して平坦だったわけではない。2017年6月14日発売の『桜色ダイアリー』から2018年3月14日発売の『妄想道中膝栗氣 〜moso traveling〜』までは、リリースに約9カ月の空白があった。その間、妄想キャリブレーションが打ちこんできたのが『妄想キャリブレーション47都道府県ツアー〜大声出そうぜ。MOSO MAX〜』だったのだ。東京TSUTAYA O-EASTでの46公演目は、全国各地でのライブで鍛えあげられた妄想キャリブレーションの今後に、より期待を膨らませるのとして充分なものだった。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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