『妄想道中膝栗氣 〜moso traveling〜』インタビュー

妄想キャリブレーションが語る、47都道府県の旅で開いた新たな扉 話題の“5in1MV”にも迫る

 妄想キャリブレーションが、3月14日にメジャー1stアルバム『妄想道中膝栗氣 〜moso traveling〜』をリリースした。同作は“旅”をテーマに作られたアルバムで、47都道府県ツアーや海外公演などを経験したグループにぴったりの、バラエティに富んだ楽曲群を収録した作品に仕上がっている。リアルサウンドでは、メンバー全員にインタビューを行い、47都道府県の裏側やアルバムの制作秘話、話題を呼んでいる「旅は君連れ世は情け」のMVなどについて、じっくりと話を聞いた。(編集部)【最終ページにプレゼント情報あり】

海外公演は「大スターになった気分だった」(胡桃沢)

(左から)桜野羽咲、水城夢子、星野にぁ、雨宮伊織、胡桃沢まひる。

ーー前作のシングル『桜色ダイアリー』を発表したのが2017年6月だったので、作品リリース的には少し間が空きましたけど、その間に47都道府県ツアーや海外進出など、ライブを中心に精力的な活動をされてましたね。

桜野羽咲(以下、桜野):47都道府県ツアーは私たちがずっと目標に掲げてたことなんですよ。東京以外の場所にも応援してくれるファンがいっぱいいることがネットやSNSからも伝わってくるので、そういう人たちに会いに行きたいというのもありますし、私と(胡桃沢)まひるは東京出身なんですけど、(雨宮)伊織と(水城)夢子は富山、(星野)にぁは宮崎出身なので、メンバーの地元でもライブをしたいという気持ちが強くて。それに47都道府県ツアーだと、確実にワンマンライブを47公演できるじゃないですか(笑)。想像してたより過酷ですけど、いま全国を回れることができて幸せです。

ーーツアーで印象深いことはありましたか?

星野にぁ(以下、星野):こないだ富山で凱旋公演を行ったんですけど、伊織と夢子の二人が私たちの知らないところで企画を考えてくれてたんですよ。前回のツアーで富山に行ったときは凱旋ライブを楽しく終えられるように私たちが支えてあげる気持ちだったんですけど、今回は二人に引っ張ってもらって。

水城夢子(以下、水城):本当に自由にやらせてもらったよね。

雨宮伊織(以下、雨宮):うん。

桜野:私たちは二人よりも先に泣いてしまったんですよ(笑)。自分たちも富山出身なんじゃないかと思うぐらい心動かされたライブになりました。

星野:でも本当に第2の故郷だよね。二人がパパとママに書いた手紙がまた……別に私たちに宛てた手紙じゃないんですけどね(笑)。

水城:私は富山が大好きなので、みんなが同じぐらい富山を愛してくれてうれしいです。

雨宮:富山でのライブは1年ぶりぐらいだったんですけど、私の両親はあまり富山から出ないので、まだ私がライブでピアノを弾いてるところを見せたことがなかったんですよ。子供の頃にいろいろ習わせてくれたことを感謝してるので、やっと見せることができてすごくうれしかったです。あと、私は恥ずかしいからあまり自分から来てとは言わないんですけど、友達もいっぱい来てくれて。しかもみんな自分でチケットを買って来てくれたんですよ。

胡桃沢まひる(以下、胡桃沢):後で写真も送られてきてたよね。

雨宮:そう! 友達が集合して撮った写真を送ってきてくれて、本当にうれしかったですね。

(左から)桜野羽咲、水城夢子、星野にぁ。

ーーそれに加えて昨年はロンドン、上海、香港、台湾、シンガポールを巡る海外ツアーも行われました。

胡桃沢:私たち、ずっと海外に行きたいって言ってたんですけど、まさかツアーという形で実現させていただけるなんて思ってなくて。世界を巡って価値観が広がりましたし、世界中にファンがいることもわかりました。言葉が通じなくても身振り手振りで感動を伝えてくれたり、ロンドンでは会った瞬間にファンになってCDを買ってくださる人もいましたし。私は海外に行くのが夢だったので、メンバーもみんな一緒に行ってくれて……。

星野:妄キャリとして呼ばれてるんだから、そりゃ行くわ!(笑)。

胡桃沢:そうだよね(笑)。でも、みんなを連れて一緒にご飯を食べたり、同じことを共有できてうれしかったです。

ーー海外のファンは日本と反応が違ったりします?

水城:全然違いますね!

胡桃沢:ウケる曲も違うしね。

星野:やっぱりLondonとかはEDMの曲のノリ方がJapanと全然違って……。

ーーJapanって(笑)。

星野:かぶれちゃってますね、やばいやばい(笑)。例えば日本だと曲と曲の間のブレイクのときは結構シーンってなるんですけど、ロンドンだとブレイクした瞬間に「ヒャーオッ!!」みたいな感じでめちゃくちゃ盛り上がって。最初にそう反応されたときは戸惑っちゃいました。

桜野:あれはすごかったよね。みんな楽しむ能力が本当にあって。

水城:でもそれが最高に気持ち良かった。

胡桃沢:大スターになった気分だったよね。昨日もロンドンのライブを見てくださった方から「また来てください!」というメッセージをInstagramにいただいて。そのときの出会いから、いまもネットを通じて繋がり合えてるのがありがたいです。

「人生って旅と似てるみたいな……」(星野)

ーーそのように日本と世界を駆け巡るなかで制作されたのが、今回のニューアルバム『妄想道中膝栗氣 〜moso traveling〜』ということで。「旅」をコンセプトにされているのは、それらのツアーの経験を踏まえてのことなのでしょうか?

桜野:そうです。それとリード曲の「旅は君連れ世は情け」はbilibili動画(中国の動画サイト)の『窮豪旅遊記』という番組の主題歌としてメンバーで作詞したんですけど、番組自体も「旅」をテーマにしてるので「うちらもちょうど旅をしてるからピッタリじゃん」と思って、私たちのツアーや日々のことも詞に落とし込んだんです。

ーー具体的にはどんなことを歌詞に込めたのですか?

星野:今回は主題歌ということが前提にあったんですけど、自分たちの気持ちもちゃんと入れたいと思って。47都道府県ツアーもそうですけど、口に出すとアレなんですが、人生って旅と似てるみたいな……(照れて声が小さくなっていく)。

胡桃沢:別に悪いこと言ってないんだから堂々としゃべりなよ(笑)。

ーー意識してしゃべるから余計恥ずかしくなるんですよ(笑)。

星野:その……やっぱそうじゃないですか(照れて赤面する)。

桜野:詰まっちゃった(笑)。

星野:まあ、それで妄キャリの場合はだいたい曲の主人公を決めて歌詞を作るので、そこからみんなで話し合いました。ああ、暑っ(笑)。

ーーじゃあこの曲の主人公はどんな人なんですか?

水城:なんかどうしようもない人というか(笑)。

星野:たまたま人生で良くないことが立て続けにあった人なんですけど、でも旅……人生が進んでいくうちにいろんな出会いがあるじゃないですか。で、出会った君がいれば、そんな人生でもすごくハッピーになれるよーっていう……なんか私が言うとダメだね(笑)。

桜野:なんか薄っぺらい(笑)。

水城:つまりアレですね、人生の嫌なことも自分の経験になって、糧になって、あなたといれば私は幸せよっていう曲です。

桜野:それもちょっと違うんじゃない?

水城夢子(左)と星野にぁ(右)

ーーダメ出しが出てますけど(笑)。ともあれ、みなさんで歌詞を書かれたわけですから、自分の気持ちが入ってるわけですよね。

桜野:そうですね。<わがまま天国 妄想中 はちゃめちゃ地獄も グッとくる>という歌詞は、人生いいこともあれば悪いこともあるのが普通ですけど、自分たちもライブをしててハッピーなときもあれば、レッスンをしてて辛いときもあるので、自分たちが47都道府県ツアーで感じたことがギュッと入ってます。<輝く未来へ 奮闘中 夢見てた過去が あったから 譲れない思いが確かに この胸の中にあるんだよ>はまさに私たちの言葉だし、Dメロの<先の見えない暗闇 ぶつかって怖くなった 手探りだけじゃ これ以上進めない>はライブのときにファンが光を照らしてくれたら私たちは先に進める、という気持ちを込めてて。

ーーちなみに「旅は君連れ世は情け」というタイトルはどなたが考案されたのですか?

桜野:これは「旅は道連れ世は情け」ということわざをもじったもので、みんなで話してるうちに出てきました。他にもそのまま「道連れ」だとか「靴擦れ」っていう案もあったんですけど、最終選考で「君連れ」になったんです。これがいちばんわかりやすいと思うし、ファンはもちろんメンバー同士に向けた意味にもなるので。

ーーツアーを経てメンバー同士の結束もさらに深まったでしょうしね。

桜野:ひとりだったら乗り越えられないかもしれないけど、一緒にがんばってくれる人がいれば乗り越えられる部分があるというのはツアーで感じたことなので。もちろんファンの方の応援があればこそですけど、こうやって活動できてるのは一緒にがんばれるメンバーがいるからだなって……思います(照れ笑い)。

胡桃沢:なんでそこでまた笑うの(笑)。

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