『THEカラオケ★バトル』優勝・女子高生シンガー清水美依紗の可能性 鈴木瑛美子らとの共通点は?

 9月20日、テレビ番組『THEカラオケ★バトル』(テレビ東京系)の企画「全国統一!最強歌うま王決定戦」が放送され、女子高生シンガー・清水美依紗が優勝を果たした。

 これまで、林部智史、May J.、クリス・ハートなど、数々のヒットシンガーを輩出してきた『関ジャニの仕分け∞』(テレビ朝日)『のどじまんザ・ワールド』(日本テレビ系)といった“歌うま”系の番組。そのなかで生まれた最も新しい王者が清水だ。番組内でも紹介されていたが、彼女は3歳からピアノを始め、バイオリンやギターも習い、現在は音楽科がある高校で声楽を学んでいるという、音楽教育を徹底的に施された逸材といえる。

清水美依紗(出典:本人Twitterより)

 そんな清水は、日々その歌声を動画投稿サイトにアップしているなか、May J.の楽曲をカバーしている動画をMay J.本人が発見し、全国ツアー(名古屋、大阪、東京)への出演を打診され、見事ツアーへと参加。『THEカラオケ★バトル』でも歌姫が聞き惚れた才能として、番組内で紹介され、見事王座を勝ち取った。

 メジャーの舞台では現在も井上苑子や足立佳奈、坂口有望などが活躍し、先日始動したLINEの音楽レーベル<LINE RECORDS>からも第1弾アーティストとして鈴木瑛美子がデビューするなど、ますます「女子高生シンガー」たちが音楽業界を盛り上げている。もちろんブレイクのきっかけは人によってさまざまだが、数少ない共通点を見つけるとすれば、彼女たちは最新のツールやWebサービスを使ったバズをきっかけとし、プロへの道を歩んでいることだろうか。

 たとえば、井上苑子はツイキャスでの弾き語り動画がブレイクを後押ししていたし、足立佳奈は日々15秒ソングをTwitterで発信し続け、その結果「キムチの歌」が多くの中高生たちに刺さったことで盛り上がりを起こした。坂口有望はクリープハイプの「二十九、三十」をカバーしている動画が高い再生数を記録したことで“見つかった”といっても過言ではない。

 そして清水もまた、その系譜に位置付けられる。彼女はMerry Ley名義のMix Channelでアーティストのカバー曲を投稿し、同世代の間で話題になったことから、現在のキャリアへと繋がっている。こうして勝ち上がってきた彼女たちは、同世代や同性の支持者も多く、一般的にアーティストが一番取りづらい層のファンをあらかじめ獲得しているというのも面白い点だ。

 もちろん、アーティストの真の実力を測るには、オリジナル曲の存在も欠かせない。それぞれがメジャーデビューのタイミングで個性を活かした楽曲の提供を受けたり、自身で制作に携わったりと様々だが、清水の場合はMerry Leyという名義でオリジナル楽曲も歌ってきている。試しに楽曲を聴いてみると、J-POP的な“歌うま”ではなく、R&Bやソウルのマナーもしっかりと身につけた歌い手であることがわかる(参考:「Step into My Heart/Merry Ley (清水美依紗)」 )。優勝後は“歌うま”方面で注目が集まるだろうが、SNS経由の盛り上がりやオリジナル曲の進化など、幅広い活動を経てどこへ向かうのか、楽しみにしたい。

Merry Ley (清水美依紗) - Step into My Heart (Official Music Video) / THEカラオケ★バトル 全国統一最強歌うま王決定戦 優勝

 (文=向原康太)

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