藤井麻輝が語る、新たなスタイル確立したminus(-) の音楽性「延々変わらない部分が再確認できた」

藤井麻輝が語る、minus(-)の音楽性

ドローンは僕にとって、なにかのルツボ的なもの

ーー楽曲はどこから作り始めるんですか。リズム?

藤井:昔はベースラインから作ってたんですけど、今は大概ドローン。最初はドローンだけ作って、延々流しながら気持ちいい〜って浸って、さてここからどうしようかなと考えて、いろいろ乗っけていく感じです。ドローンを延々聞いていると見えてくるんですよ。メロディだったりフレーズだったり。浮いてくる感じってですかね。そういうのを乗っけていくとだんだん楽曲になっていく。

ーードローンっぽい曲はSOFT BALLET時代からやってますよね。

藤井:延々とやってますよね。

ーーその頃と感覚としては同じ?

藤井:いや、あの頃はもっと……ドローンはテクスチャーの一部であって、基本骨格はベースだと思って作ってたから。あれはあれで特殊なバンドなんで。メロがどうのというより、ビートを作ってた感じ。

ーーそこからドローン中心になってきたのは、アンビエンスなテクスチャー中心の音作りに変わってきたということですか。

藤井:僕の場合、ドローンはアンビエントと捉えてないんですよ。ドローンって僕にとって、音楽の中心的な位置づけでありつつ、なにかのルツボ的なもの。

ーーいろんなものが溶け合っている。

藤井:はい。もしくはコロラドの川、的な。

ーーコロラドの川?

藤井:そこに砂金が眠ってる的な。

ーー(笑)なるほど。ドローンを作る時はどんな意識なんですか。

藤井:なんて言えばいいのかな……当然音をいじっている以上考えてはいるんでしょうけど、あまり論理的な思考を介在させずに。シンセのツマミを2個ぐらいあれこれ操作しながら作っていく感じ。それを録音したものを延々と聞いて、重ねたりしながらボケッと一カ月ぐらいすると、なにかが浮かんでくることもあり……。

ーー効率が悪そうな作り方ですね(笑)。

藤井:うーん、作為的に作らない手法ってそれしかないんで。

ーー「作為的に作る」というのは、事前に「こういうものにしたい」と明確に構想を立ててそこに向かっていろいろ作業する、というやり方ですか。

藤井:とか、コード展開を考えながら、とか。そういうやり方はあまりしたことないし、向いてないし、いやですね。

ーーへえ。いつごろからそうなったんですか。

藤井:……90年代終わりぐらいからかな。

ーーSOFT BALLET解散後ってことですね。それは通常のポップミュージックやロックミュージックの形式から自由になりたい、という意思ですか。

藤井:いや全然。そんな森岡賢的なことは考えないんで(笑)。要はフォーマットを決めて作る作業が向いてないんですよ。そうやって出てくる自分のものにもときめきはないし。

ーー楽曲のサイズはどう決めるんですか。

藤井:曲の求めるままに作っていけば、ちょうどいい案配に収まるんです。何分以内に収めるとか考えないですね。

ーーつまりドローン・ノイズを聴きながらあれこれイマジネーションを逞しくして、浮かんでくるものを楽曲に仕立てていく。

藤井:それだけ、ですね。

ーーなるほど。でも作っている途中段階でも、「こういうものにしたい」というビジョンは湧いてこないんですか。

藤井:「浮かんでくる」っていうのは何らかの潜在意識が必ず働いてるんで。『R』というミニアルバムを作ろうという意識は根底に必ずあるから。「浮かんできた」っていうのも、「浮かばせてる」わけですよ。

ーーふむ。これで完成、というジャッジはどう下すんですか。

藤井:それはもう、〆切り逆算ですね。今回はマスタリングの日程と、大阪東京のライブ(8月22日、24日)があったので、それまでに完成するように。

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