アジアにおける音楽ストリーミングサービスの未来は? 各社が語るハイレゾの可能性

 アジアにおけるストリーミングサービスの未来は?

 『ATM』で語られたもう一つのテーマは“ストリーミングにおけるハイレゾの可能性”であった。「Music to My Ears - High Resolution Audio in the Streaming Age」と題されたパネルディスカッションでは下記の登壇者が揃い、ハイレゾストリーミングについて語った。

Ed Kershaw, Chief Commercial Officer, 7digital
Alexander Shulgin, Founder & CEO, Gruppa Kompaniy Familia
Henrik Karlberg, CEO Asia Pacific, Deezer
Jonathan Dworkin, SVP Digital Strategy & Business Development, Universal Music Group
Moderator: Ralph Simon, Chairman & CEO, Mobilium Global Limited

 冒頭、YouGov.comによる“高音質に高価格を支払えるか?”という問いへの調査結果が示され、“支払う”“多分支払う”の合計が64%に上ると出たことで、アジアにおけるハイレゾの可能性が明らかになった。

 今年9月に開催された『IFA 2017(国際コンシューマ・エレクトロニクス展)』で、世界第3位の規模を誇るDeezerがCD音質=FLAC形式のストリーミングサービスを『Deezer HiFi』と名付け、ソニー、Bose、オンキヨー、ヤマハなどとのパートナーシップを発表し、ハイレゾストリーミングの拡大に先鞭を付けており、「アジア市場への拡大も考えている」(カールバーグ氏)とも語っていた。

 音源を供給する立場のユニバーサル ミュージック グループから登壇したドウォーキン氏は「音楽ファンは“体験”に飢えており高音質は重要だ」と語り、社内でテスト視聴した『サージェント・ペパーズ(Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)』(The Beatles)やブルーノート音源の素晴らしさを強調した。

 欧米では数年かかって浸透、発展した音楽ストリーミングであるが、アジア市場では多様性を持ちながら一気に立ち上がるイメージを多くの業界人が持っていることが『ATM』で分かった。日本の音楽市場の更なる発展と海外展開、両面においてストリーミングが大きな役割を担うのは間違いないと言える。

■鈴木 貴歩
ParadeAll株式会社 代表取締役 エンターテック・アクセラレーター
ゲーム会社、音楽放送局等でコンテンツ企画、事業企画を担当した後に、2009年にユニバーサルミュージック合同会社に入社。デジタル本部本部長他を歴任し、音楽配信売上の拡大、デジタルマーケティングの強化、全社のデジタル戦略の推進、メディア/プラットフォーム企業との事業開発を担当の後、起業。
現在はエンタテインメント、テクノロジー領域のコンサルティング、メディア運営、カンファレンス主催、海外展開支援を行う。
2014年に立ち上げた日本初の音楽xテクノロジーのカンファレンス、「THE BIG PARADE」Co-Founderも務める。
“エンターテックはカルチャーを創る"がビジョン。
Twitter:@suzukitaka

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