SuGは、不器用なぐらいに美しいバンドだったーー活動休止前の武道館公演からキャリアを振り返る

 「AGAKU」の歌詞<怖いもんひとつもない/そんな台詞言ってみたい/今すぐ逃げ出したい/でもみんなを裏切れない>はおそらく武道館を決めた後の心境のこと。最後のステージで武瑠は誰ひとり逃げずに無謀な挑戦に立ち向かったメンバーを誇りに思うと伝え、全ての演奏が終わった後、「夢がなかったひとりの男の子の、生きる糧になってくれてありがとうございました。ただの男が5人集まってこの場所に立ちました。みんなも絶対にできます。俺なんか、私なんかと思わずに一歩踏み出してください。それがSuG武瑠、そしてSuGの無理やり前向きなメッセージです! 10年間ありがとうございました!」という言葉で7,000人ものファンが集結したステージを締めくくった。

 SuGは異端のバンドでもなければ、早すぎたバンドでもない。むしろ、彼らに追いついていけなかったのは、このシーンなのかもしれないという気さえする。形容するならばSuGは最初から最後まで不器用なぐらいに美しいバンドだった。

■山本弘子
音楽ライター。10代の時にパンクロック、グラムロック、ブルースに衝撃を受け、いまに至る。音楽がないと充電切れ状態に陥る。現在、Webサイト、音楽雑誌などで執筆中。

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