平井 大、テラスハウスやMixChannelでなぜ人気? 音楽通も唸らせる洋楽的アプローチに迫る
Suchmosの「STAY TUNE」がHonda「VEZEL」のCM、Nulbarichの「FOLLOW ME」が楽天カードTVCMに起用されるなど、アーバンミュージックが人気を博す中、平井 大の楽曲がSNSや音楽ファンの間で「お洒落で泣ける!」と話題を集めている。
『テラスハウス』(フジテレビ系)番組内では、テイラー・スウィフト「We Are Never Ever Getting Back Together」をはじめ、ブルーノ・マーズ、シーア、ジョン・レジェンドなどの楽曲とともにBGMとして起用。「tonight」、「Faraway」、「Life is Beautiful」、「A Good Day」といったロマンチックな恋愛模様に寄り添う平井の音楽は、番組ファンの口コミからじわじわと広がり、流行に敏感な若年層を中心に認知度を高めていった。
中高生の間で話題の動画コミュニティMixChannelでは、平井の楽曲を動画のBGMとして使用するユーザーが多発。カップルや友人同士の大切な思い出を彩る存在として、今もなお絶大な支持を受けている。また、iTunes / Apple Musicでは、昨年リリースされたアルバム『Life is Beautiful』が2016年のベストアルバムに選出。過去には、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE、米津玄師、サカナクションが選出されており、それに続く快挙を成し遂げた。同作は発売から1年がたった今でも、Apple Musicのランキング上位に度々浮上し、長く愛され続ける作品に。さらに人気は著名人にまで広がり、木下優樹菜、石田ニコルといったカリスマモデルをはじめ、サッカー日本代表の香川真司までファンであることを公言している。
なぜ平井 大の楽曲はこれほどまでに多くの人々に支持され、さらに「お洒落だ」と感じられるのだろうか。そこには、色濃く作品に反映された洋楽的なアプローチが関係しているように思う。特にアルバム『Life is Beautiful』は、これまで以上に奥行きのある詩世界を表現し、平井の新たな一面を浮き彫りにした作品だった。サウンド面では、持ち前のキャッチーさを残しながらも、アコースティックサウンドをベースに、ブルースやカントリー・ロックといったジャンルへ接近。楽器も生の音に重点を置き、バンドとしてのグルーヴ感も増した印象だ。スモーキーな歌声も相まって、ドン・ヘンリーが所属したThe Eaglesやニール・ヤング率いるBuffalo Springfieldを想起させるウエストコースト・ロック調の楽曲も際立つ。安室奈美恵や宇多田ヒカルといった国内アーティストや、アデルやディアンジェロ、ザ・ウィークエンドといった世界を代表する海外アーティストのマスタリングを手掛け、6度グラミー賞に輝いているトム・コインがマスタリングで参加していたのも特筆すべき点だろう。
その後リリースされたカバーアルバム『Love is Beautiful』でも、Aerosmith、アリシア・キーズといったこれまで以上に幅を広げたジャンルの楽曲に挑み、「It don't matter with Donavon Frankenreiter」では、サーフロック界のレジェンド、ドノヴァン・フランケンレイターがレコーディングに参加、その模様をMVに収めるという機会にも恵まれた。
そのような流れを経て、7月5日には待望の新作『ON THE ROAD』が発売される。先日他界したトム・コインに代わり、彼と共に作業をしていたランディ・メリルがマスタリングを担当、洋楽シーンの第一線のサウンドが聴ける。さらに、本作ではボブ・ディラン「Blowin’ in the wind」のカバーも収録。J-POPシーンで広く支持を得る一方で、国外を意識したアーティスト性やクリエイションは、コアな音楽ファンをも唸らせる。既に公開されている新曲「Story of Our Life」のMVは、LAで撮影された映像も入っており、平井の世界観が伝わる見応えのある作品となっている。新作への期待は高まるばかりだ。