『バンもん!Fes.2016winter 〜雪降る夜にフェスして〜 supported by WEGO』WWW & WWW X
バンドじゃないもん!が体験させてくれた“幸せな空間” 『バンもん!Fes.winter 2016』東京編
続いては、みきちゅがサブステージに登場。10月にディアステージへの移籍を発表し、約1年封印していた“みきちゅ”名義での活動も再開してファンを歓喜させたばかりだ。
みきちゅのライブは、彼女の最高の名曲「アイドルの秘密」でスタートした。アイドルであり、シンガーソングライターでもあるみきちゅ自身によって、アイドルとしての苦悩が赤裸々に描かれた楽曲だ。
既存曲はもちろんのこと、新曲までみきちゅ名義で歌われるようになったことは嬉しい。最後は、みきちゅの名を繰り返す「みきちゅMIX」が熱く響いた。
メイン・ステージでセッティングをしながらみきちゅのステージを見守り、ケチャもしていたのがONIGAWARA。竹内サティフォが布袋寅泰モデルのギターを弾いているものの、ふたりが歌っているのは1990年代的なエッセンスを感じさせる洗練されたポップスだというギャップも面白い。ステージ上のONIGAWARAは、まるで時代性を超越した男性アイドルのようだった。曲中にさまざまなポーズをとる撮影タイムまで用意していたのだから。
ONIGAWARAのライブが終わった瞬間、インダストリアルな轟音が響きだした。サブステージでテンテンコのDJが始まったのだ。容赦のないノイズから重く太いビートへと展開していき、ものの数分でフロアをテンテンコの世界にしてしまった。
テンテンコは、初のメジャーでのソロ・アルバム『工業製品』をリリースしたばかり。しかし、この日の前半は、彼女が自主制作で毎月リリースしているCD-Rのようなサウンドだった。次々と変化していくサウンドの中には、デトロイト・テクノかと思うようなパートもあった。
DJスタートから約20分を経て、テンテンコは初めてMCを挟み、『工業製品』のリード・ナンバー「次郎」を歌いはじめた。この楽曲は、デジタル・クンビアのようなビート。しかも間奏のギター・ソロは、古いタイ歌謡のようだ。「放課後シンパシー」では、機材を手にして電子音を発しながら歌った。振り幅の大きさこそがテンテンコの魅力だ。
BILLIE IDLE®は、「anarchy in the music scene」からスタート。自分がボーカルをとらないパートで、直立して腕組みをしながらフロアを見渡すファーストサマーウイカの存在感は、まるで歌舞伎役者のように強烈だ。
当初はキャリアのあるヒラノノゾミとファーストサマーウイカを追う立場だったモモセモモが、すっかり堂々とフロントを張れるようになったのも心強い。8月に加入したばかりの新メンバーであるアキラ(モモセモモの妹だ)の動きも思いきりが良い。
そして、今やBILLIE IDLE®現場のアンセムとなりつつある「be-bop tu-tu」では、BILLIE IDLE®ならではのネオ80年代感を体現してみせた。
MCではファーストサマーウイカが、バンドじゃないもん!の恋汐りんごの声マネをしながら「はわー!」とフロアとコール&レスポンス。
後半で歌われた「どうせ消えてしまう命なら...」は、もともとは「ヒラノノゾミ from BILLIE IDLE®」名義で「"どうせ消えてしまう命なら..." feat. ファーストサマーウイカ、カミヤサキ、テンテンコ、ミチバヤシリオ」としてリリースされた楽曲だ。元BiSのメンバーを招いた楽曲であるため、元研究員のノスタルジーを否応なしに刺激した楽曲でもある。その「どうせ消えてしまう命なら...」が、BILLIE IDLE®によって現在進行形のものとして歌われたことには、ちょっとした感動を覚えた。「どうせ消えてしまう命なら...」は、2016年に発表された松隈ケンタ作曲作品として、もっとも優れた1曲でもある。
サブステージには、陽気なゴッドサマーズが登場。バンドじゃないもん!の天照大桃子と甘夏ゆずによるDJユニットだ。ふたりはDJをしつつマイクで煽り、歌い、そして柵にも登った。
DJ 汐りんごは、サンタ姿でサブステージに登場。かと思うと、クリスマスプレゼントとしてお年玉をフロアに投げはじめた。マイクを手にして歌い、最後は恋汐りんごのオリジナル曲「りんごいろの約束」も歌うなど、さながら彼女のソロ・ライブのようだった。