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- 2016.11.03
ロックバンドにとって「聖地」とされる会場、日本武道館。その日本武道館が、2019年9月からおよそ1年間、東京オリンピックに向けた改修工事などのため使用できなくなるという。日本武道館の長い歴史の中でも、このように長期間使用できなくなることは初めてのことだ。
そもそも日本武道館は、1964年の東京オリンピック柔道競技会場として作られたもので、当初は武道のためだけの建物であった。しかし大会後の1966年、ビートルズが同会場で初めてロックコンサートを開催すると、レッド・ツェッペリン、エリック・クラプトン、クイーンといった海外の大物アーティストが次々と日本武道館で公演を行なうようになっていった。そして、海外のみならず、現在までに100回以上武道館公演を行なっている矢沢永吉など、国内アーティストも次々と同会場で伝説を作っていった。日本武道館が多くのミュージシャン、とりわけロックバンドにとって、憧れの地となったのはこうした歴史から見れば必然かもしれない。
昨今の都内のコンサート会場事情について詳しい大手イベント会社のプロモーターは、多くのロックバンドたちが武道館を目指す理由について次のように語った。
「300〜400人キャパだとWWW、次はZepp、その次になるとNHKホールや、ドームシティホールなどがありますが、バンドの色によっては会場の雰囲気が合わないことがある。しかし、武道館はアーティストの色を選ばず、ロックもポップもいろいろやってきています。また、キャパの8000人というのはワンマンで埋めるには大きなハードルのため、バンドとしても最初の分かりやすい壁になる。目標があるほうが活動を活性化しやすいですし、関係者もアーティストも武道館公演を成功させることで、具体的な次のステップが見えてくる。そしてやはり、会場の空間が独特というか、特にステージに上がるバンドからすれば、神聖で特別な場所のように感じるのではないでしょうか」
彼が語るように、日本武道館は今でもミュージシャン、特にロックバンドにとってはひとつの大きな目標や、ターニングポイントとなることが多い。近年では、SEKAI NO OWARIが2011年、メジャーデビュー前に武道館公演を発表してチケットを完売させ、ホールツアーやアリーナツアーへの足がかりを作った。また、[Alexandros]は2014年に初の武道館公演を開催、そこで改名を発表した後にユニバーサルミュージックとグローバル契約を締結、一気に知名度をあげるなど、若手バンドの登竜門となっている。また、結成30年で怒髪天、26年目にしてフラワーカンパニーズが、初の日本武道館公演でチケットを完売させたように、長い時間をかけて達成するという例もある。
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