ミツメが獲得した「引き」の技法ーー『A Long Tour』ファイナル公演レポート
続いて披露された「真夜中」で強く感じたことだが、この日のライブでは川辺の言葉がストレートに耳に入ってきた。楽器の音数が少ない分ボーカルが目立つこともあって、そのメロディと詞も、これまで以上に練られたものになっている。
アンコールを受けて再びステージに登場した川辺は、「今のミツメはこういう感じだよっていうライブができたと思います」と話すと、「タイムマシン」「ミツメのテーマ」「クラゲ」と初期の人気曲を続けて披露。当時のギターポップも、現在のミツメの手にかかれば更に鮮やかに響く。最後にあえて初期の楽曲を演奏するのはファンサービスでもあり、彼ら自身がバンドの現在地を改めて確認しているようにも思えた。
そしてこの日、12月25日にリキッドルームにて『WWMM(ワクワクミツメまつり)』を、昨年に引き続き開催することを発表。川辺は「出演者も全員集合という感じなので、皆さんも全員集合でお願いします」と自信を見せた。出演者は12月3日に一斉発表される。
『A Long Day』レコーディングを経て、新たなアンサンブルを獲得したミツメ。これまで以上に「ライブを観たい」と思わせるバンドになったと言えるだろう。着実に進化を続ける彼らが今後どこに向かうのか、楽しみにさせられるライブだった。
(取材・文=渡邊魁/写真=トヤマタクロウ)