杉恵ゆりかが、ラブソングで表現する人の本音 「みんな一対一で感じる世界を生きている」

杉恵ゆりかが、ラブソングで表現するもの

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「サウンドでも女の子、女の人を表現できたらアート」

ーー音もこだわっていますよね。

杉恵:はい。いつもキラキラ感がどこかにあるように、あったかい音になるように、ひりひりした音になるようにって思って作っています。サウンドでも女の子、女の人を表現できたらアートだなあって。音楽である以上、ポップスでないといけないっていうこだわりは譲れないし、歌えるリアルでありファンタジーっていうものを追求してますね。

ーーだから、エグイことを歌っててもポップに聴こえるんですよね。

杉恵:ありがとうございます。学生時代に影響を受けた歌はキャッチーだったし、言ってる意味が大人っぽくてわからなくても、メロディがいいから歌えたし、さらに今、こういう意味だったのか!ってわかるし。ここまで学生時代の思い出を持ってこれる音楽は、やっぱりポップスなのかなって。青春時代に戻れるというか、恋愛すれば常に子どもに戻るわけだから、同じことを繰り返しながら同じ曲を聴いたりするし、私の歌もそういう歌になれればいいなって。後は最近、落ち込んでいて、何も聴きたくなくなる時があって、そういう時に高校生の頃に聴いていた音楽を久しぶりに聴いてみたら、それだけは受け付けられて。あ、音楽って帰れる場所になれるんだ、家みたいになれるツールになるんだって気付いたんですよね。いつか自分も、誰かにとってそうなれる音楽を作れたらいいなって思います。

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ーーあと、さっきのエグイことっていう中に、エロティックな描写も含まれているんですが、結構踏み込んだ表現をしていますよね。

杉恵:そうですね。そういう時間って、一番本音が見え隠れするんじゃないかなって。10代の頃から、大人びた小説を読んでいたからかもしれない。山田詠美さんや島本理生さんみたいな、女性作家の恋愛小説の中の一節が、私の中ではファンタジーだったんです。どんなに近くても言えないことがあるって気付いたというか。自分たちの思いを伝え合う前に、そういう関係になった時の辛さとか。それは男性もあるかもしれないけれど、女性の方が感じるんじゃないかな。ただ、そういうことは2ndミニアルバムの『セキララガール』で存分に書いたので、今回の『スキ?』は極力セクシーさを削ったんです。意図的に聴きやすく、女の子がカラオケで好きな人の前で歌えるような歌にしたかったので。まあ、ちょろちょろと入れちゃってますけどね。

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ーーなかなか、こういう踏み込んだ表現をするシンガーソングライターっていないですよね。

杉恵:どんな恋愛してきたんだって言われますけど、普通に人のことを好きになって、心も体も成熟していけば感じることだし。好きな人のことを触りたいって、可愛らしい、綺麗な、飾らない気持ちだから。媚びて触りたいとか言ってるんじゃないですしね。

ーー恥ずかしくて歌えない、書けないっていう人もいそうですけど、杉恵さんの場合は?

杉恵:泣きそうになるんです。それこそ、好きな人に直接は言えないから。触って下さいとか、触りたいとか。だから歌にしているんです。ライブでも聴いて泣いてくれる女性がいて、それは嬉しいですね。

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