AimerとワンオクTakaの出会いが“必然”である理由ーーコラボアルバム『daydream』を紐解く
そして今作の中で特に注目したい作家が、全5曲の楽曲提供またはプロデュースを手がけているTakaだ。ONE OK ROCKは、2015年にアメリカのプロデューサーと共に現地でレコーディングしたアルバム『35xxxv』をリリースし、その後も北米、ヨーロッパ、アジアでツアーを敢行。昨年から今年にかけて、世界を舞台に活動を続けてきた。ユニバーサルな音楽を志向するTakaの挑戦は、今回書き下ろした楽曲にも表れているという。
「この5曲と、TakaがONE OK ROCKでやろうとしていることは地続きになっていると思います。というのも、Takaは、今のアメリカのラウド・ロックのシーンにそのまま通用する、つまり基準が日本ではなく、世界にある楽曲を作っています。ONE OK ROCKは基本的にはTakaが歌うバンドなので、彼のボーカリストとしての力強さ、ストイックさを活かす曲になる。一方でAimerは、ある種の悲劇性や繊細さを歌で表現できるシンガーです。そういったAimerの表現力と、ラウド・ロックやエモが組み合わさった音楽は、たとえば、パラモアのように、ここ十数年のアメリカのひとつのメインストリームとなっています。今回、Takaはその系譜に位置付けられる音楽を作ろうとしたのではないでしょうか」
今回のコラボレーションは、Aimer、そしてTaka双方にとって、今後さらに活動のフィールドを広げるきっかけになるだろうと、柴氏は語る。
「『daydream』を制作したことで、間違いなくAimerの表現力は磨かれたと思います。もともと、素材として素晴らしい歌声を持っていましたが、今回の作家性の強いアーティストたちのプロデュースによって、それをどう表現するか、どう使うか、その可能性が多様になった。また、Takaに関しては、今回が初のプロデュースワークとなり、またAimerと野田洋次郎を引き合わせたのも彼だそうです。ONE OK ROCKはこれまで国内のアーティストと共に楽曲を制作することはほとんどありませんでしたが、このように他のアーティストと関わったことで、Takaの今後のプロデュースワークの道も、大きく広がったと思います」
Aimerのシンガーとしての新たな魅力が引き出され、また、各アーティストの作家性も色濃く表れることで、互いを新境地へと導いてみせた『daydream』。今回のコラボレーションを経て、これまでのファン層に加え、多くのロックファンが彼女の歌に魅了されただろう。今後もジャンルの枠を越えて、多くの人の心を震わすシンガーとして、その歌声を響かせてほしい。
(文=若田悠希)