FORWARD・ISHIYA、スカンジナビアツアーセルフレポート
北欧パンク文化は尊敬できるものばかりだったーーFORWARD・ISHIYAスカンジナビアツアー体験記
そして翌日は今回のツアーで1番大きなライブであるフィンランドの街OULUで行なわれるHässäkkä-päivätフェスだ。
移動もやはり8時間ぐらいはあり、国境もあるためにこの日はオーガナイザーが借りてくれたゲストハウスで就寝。白夜と時差の疲れなどもあり、みんな早々と就寝した。
しかしこのあたりまでくると暗くなることはない。初めて体験する白夜には連日驚かされる。
その分冬の時期になるとほとんど昼間が無いらしく、自殺率も非常に高いという。明るさがそこに関係しているかどうかはわからないが、白夜と同じ時間だけ明るくならないということは、精神面にも非常に大きな作用があるのではないかと、白夜を体験してみて感じることではある。
そういった精神面がサウンドにも現れ、スウェーデン独自のハードコアスタイルが進化し続けているのだろうか?
スウェーデンのハードコアの素晴らしさを知るものとしては、その素晴らしさはいったいどういうことなのか知りたい気持ちが、このような思いを抱かせる。
初スウェーデンは、非常に楽しく充実した素晴らしいものになり、機会があれば是非また来たい国である。
ゲストハウスで目覚めると、オーガナイザーの家が近くにあり、そこに朝食が用意されているというので、ツアーメンバーで朝食を食べ出発。
この日からフィンランドに入るが、スウェーデン、フィンランド共にEU加盟国のため、国境での入国審査などはなく素通りで入国。しかし、スウェーデンとフィンランドでは通貨も言葉も違う。国境付近のバーガーショップで小銭を使いきり、今回のツアー最大のライブであるフィンランド北部の街OULUでのHässäkkä-päivätフェスに向かう。
このHässäkkä-päivätフェスは、2日間に渡り28バンドが野外ステージと室内ステージにわかれ行なわれるフェスだが、アメリカ、ドイツ、スウェーデン、フィンランドのバンドと、日本からは我々FORWARDが出演する。D.I.Yとしては大きい規模のフェスだと思う。
パンクやハードコアに限らず様々なバンドが出演していたが、FORWARDが2日目の野外ステージの最後を務めることになり、メイン扱いだったことには驚いた。
このフェスのポスターも日本のアーティストであるSUGIが描いたほか、フィンランドではいわゆるジャパニーズハードコアスタイルのサウンドが好まれており、そう言った点でも隣国のスウェーデンとの違いを感じる。
隣国で地続きでありながら、言葉も通貨もパンクの好みも違うというのは非常に興味深かった。
パンクに関しては、基本的な好みは世界共通で変わらないが、スウェーデンではD-BEATやクラスト系が好まれ、フィンランドではジャパニーズハードコアスタイルが好まれていたように思う。
筆者が1988年から行っているBURNING SPIRITSというシリーズGIGがあるのだが、このBURNING SPIRITSというものが、海外では一種のジャンルのように捉えられており、ここフィンランドで話した際にも「俺はBURNING SPIRITSハードコアが好きで影響を受けている」と言った人が多く、非常に感激するとともに、ここまで認知されてきた責任感を感じずにはいられなかった。
出演者も多数ながら良いバンドが非常に多く、ドイツのバンドEXILENTは女性ボーカルと女性ギターからなるクラスト系のハードコアだが、非常にオリジナリティ溢れる楽曲と女性ギターのコーラスでのデスボイスには度肝を抜かれた。
他にもフィンランドのバンドで女性ボーカルのKOHTI TUHOAも非常に素晴らしく、まだ結成して間もないらしいがフィンランドにも素晴らしいバンドが多数いる。
観客にも面白い人が多数おり、結構な年齢のメタル好きや若者など様々な人々が集まってきていた。
同日にSLAYERが出演するメタルフェスがあり、海外ではメタルもパンクも聞くという観客が大勢いるために心配だったのだが、それにもかかわらずこれだけの観客が集まったことにも驚いた。
野外ステージで出演が最後なのだが一向に暗くなる気配はなく、室内ステージでのDS-13が圧巻のステージを終え、いよいよ自分たちの出番がまわってきた。
遠巻きに観ていた客に火をつけることができた良いライブだったと思う。
満足感もあり、短い間ではあるが今回スカンジナビアにきてからの良いところが出たように思う。
日本のハードコアパンクの代表として、BURNING SPIRITS創始者として、恥ずかしくないライブはやったつもりだ。
終わった後にも、たくさんの観客たちが声をかけてくれ、初めて観た人々にも印象に残るライブができたことを実感した。
初めての北欧の地でこういったフェスに出られたことに感謝すると共に、最終日の明日も気合いを入れてライブをやり、有終の美を飾れたら最高だ。