LOUDNESS高崎&二井原は、なぜ世界で戦い続けたか? 「『もっと行けるはず』というのが自分たちの中にあった」

LOUDNESS高崎&二井原が世界で戦い続けた原動力

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二井原実(左)と高崎晃(右)。

「自分の子供みたいな年代が作ったアルバムとしても大したもの」(二井原)

──1stアルバムから3rdアルバムのリリースの流れって、1stが1981年11月、2ndが1982年7月、3rdが1983年1月と、6〜8カ月間隔の短いスパンなんですよね。

二井原:年間2枚作ったりしてますから。彼(高崎)からアイデアが溢れ出てたんですよ。この頃はベースの山下くんが19歳でタッカンがまだ20歳、僕は21歳で。

高崎:僕が20歳から22歳ぐらいまでの作品ですね。

二井原:今の自分たちの子供みたいな年代のメンバーが作ったアルバムっていうことを考えると、改めて大したものだなと思いますよ(笑)。まぁタッカンとひぐっつあん(樋口宗孝。2008年11月に逝去)はその前から4年ぐらい、LAZYでプロとして活動していたから、それはだいぶ大きかったよね。

──LOUDNESS結成前夜、それこそIRON MAIDENやDEF LEPPARDのようなバンドが登場する前の70年代末から80年前後ってハードロックがちょっと下火になって、パンクやニューウェーブのような音楽が人気を集めつつあったと記憶していますが、高崎さんの中ではどんどんこういう音楽がやりたいっていう欲が高まっていったわけですよね?

高崎:そうですね。僕としては1978年ぐらいの、ちょうどプロになった頃にVAN HALENがデビューしたのが大きくて。やっぱりVAN HALENが出てきたのは衝撃的だったし、それまで自分が好きなバンドはだいたいブリティッシュ系ばかりだったけど、ギタリスト的にはエディ・ヴァン・ヘイレンが出てきたのは大きかったしね。絶対にこれから世界的にハードロックが盛り上がってくるなと強く思っていたら、そうこうするうちに80年、81年ぐらいにヨーロッパのほうからそういうムーブメントがどんどん出てきて、LOUDNESSもちょうどそれにうまいことハマッていった感じです。

──それが面白いですよね。今みたいにインターネットもない時代に、世界各地で同時多発的に新世代のハードロックバンドが生まれたというのが。

高崎:生まれ育った場所が違っても、結局世代的には同じなんですよ、DEF LEPPARDにしてもIRON MAIDENにしても。みんな聴いてきた音楽が似ていて、普通にパープル(DEEP PURPLE)もツェッペリン(LED ZEPPELIN)もジミヘンも通ってきてるやろうし。そういうバックグラウンドがあって、大人になってからそういう音楽を自分なりに消化してやり始めたのがあれだったと思うんですよ。

──今作の中では「BLACK WALL」や「TO BE DEMON」が特に新鮮に映って。新曲としても全然通用するなと思いました。

二井原:逆にね。本当によくできた曲だと思いますよ。

高崎:レコーディングも時間かかったしね。1stアルバムのときは全体で1週間ぐらいで録音が終わったんだけど、今回は「TO BE DEMON」だけで1週間ぐらいかかったから(笑)。

二井原:僕も何テイク録ったかわからなくなるぐらい歌ったし。サウンドプロダクションは相当いい感じになったと思いますよ。今作は特に、LOUDNESSの名前は知ってるけどどのアルバムから聴いていいかわからないっていう若い子にはピッタリじゃないかな。これを持って、世界中をツアーして回りたいぐらいだし。

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高崎晃。

「「GHETTO MACHINE」は今のほうが理解してくれる人がいるかも」(高崎)

──完全期間限定生産盤にはファン投票で収録曲が決定したベストアルバムも付属しますし、LOUDNESSをこれから知るにはうってつけですよね。

二井原:うん。この2枚を聴けば、LOUDNESSのライブの予習ができるんじゃないかな。それに『THUNDER IN THE EAST』再現ライブのDVDも付くしね。

──そう考えると、ここ1年くらいの活動をギュッと凝縮した内容ですね。

二井原:だって35周年ですもん。力が入りますよ(笑)。

高崎:20周年をやったのがちょっと前のことのように思えるんだけど、もう35年なんやな。

──20周年を迎えるにあたって、オリジナルメンバーの二井原さん、山下さん、樋口さんが復帰したんですもんね。

二井原:そうですね、2000年ですから。

高崎:それで25周年で東京国際フォーラム?

二井原:そうそう。その頃に『ROCK SHOCKS』出してるから。あれからもう10年経ったんやね。早いねえ……だってひぐっつぁんが亡くなってもう7、8年経つわけだから。ってことは、アンパン(現ドラマーの鈴木“アンパン”政行)が入ってそれくらい経つってことでしょ。

高崎:LOUDNESSは今、第何期って呼ばれてるの?

二井原:第6期やない?

高崎:6期か。

──ファン投票の結果についても感想を聞かせてください。上位から見ていくと納得の選曲だなと思いますが。

二井原:上位5曲(「CRAZY DOCTOR」「CRAZY NIGHTS」「IN THE MIRROR」「S.D.I.」「DREAM FANTASY(夢・Fantasy)」)は順当で、それ以降は「このへんが好きなんや?」という驚きがあったね。

──1期の曲が多いけど、ちゃんと2期以降の楽曲もまんべんなく入ってますよね。中でも4期時代の「GHETTO MACHINE」(1997年発売のアルバム『GHETTO MACHINE』収録曲)が17位にランクインしたのが意外でした。

高崎:LOUDNESSには今300曲ぐらいあって、その中のベスト17というのはなかなか興味深いし、「GHETTO MACHINE」が上位に入ったというのも確かに意外でしたけど。もしかしたら3部作(インド3部作。1997〜99年に第4期LOUDNESSがリリースした『GHETTO MACHINE』『DRAGON』『ENGINE』のことを指す)は、やってた当時よりも今の時代のほうが理解してくれる人が増えてるのかもしれないですね。だからこの1曲を聴いて「こういうLOUDNESSもいいな」と思ったら、そこから3部作に手を伸ばしてもらえたら嬉しいしね。「SLAUGHTER HOUSE」(第3期LOUDNESSが1992年にリリースした10thアルバム『LOUDNESS』収録曲)にしてもそうだけど。

二井原:この中では僕、「GHETTO MACHINE」だけ歌ったことがないのかな。それ以外は全部歌ったな。

高崎:それだけなんだ……あと、「SO LONELY」(1987年発売の7thアルバム『HURRICANE EYES』収録曲)じゃなくて「ARES' LAMENT(アレスの嘆き)」(『DISILLUSION〜撃剣霊化〜』収録曲。「SO LONELY」は同曲の歌詞とメロディを一部変更、アレンジしたもの)なんやね。セルフプロデュースのほうが勝ったわけや(笑)。「SO LONELY」はアンディ・ジョーンズがプロデュースしてたから。面白いね。

二井原:今回、ヨーロッパでは「アレス〜」でやりましたよ、日本語でがっつり。歌メロはちょっと違うけど、どっちもコード進行はほとんど一緒じゃないですか。でも演奏する人からするとアレンジがちょっと違うらしくて、「SO LONELY」をやる予定のところに僕が「アレス〜」を歌うと、ドラムが叩けなくなるという。「ちょっと二井原さん、頭が混乱しますからやめてください!」って、あんぱんに言われるんですよ。

高崎:ええっ、最初からメロディ違うやん(笑)。でも「アレス〜」は久しぶりにやったよね。

二井原:「アレス〜」のほうがどちらかというとしんみりとした感じで、エモいんですよ。あの感じがヨーロッパの空気に合うんですよね。

──「SO LONELY」のほうはちょっとアメリカナイズされた音でしたものね。

高崎:そうでしたね。実際アメリカで録音しましたし。「アレス〜」はイギリスで録音したから、しっかりそれが音にも表れてるんでしょうね。

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