indigo la End、新作で濃いグルーヴを獲得した理由ーー核を担うドラマー・佐藤栄太郎のプレイを分析

 また、明確な新機軸となっているのが「ココロネ」や「ダンスが続けば」といったループを主体としたBPM120台のダンスナンバーで、普段は主張の強い後鳥のベースも、これらの曲では佐藤の叩き出すファンキーなグルーヴに乗っかって、ループフレーズを繰り返す。本人たちも語っているように、近年のダフト・パンクを意識しつつも、ABサビの構成ははっきりとしていて、あくまでポップスであろうとしている点は見逃せない。さらには、近年THE NOVEMBERSとの作品で大胆なサウンドデザインを聴かせるエンジニア・岩田純也の助力も大きく、前述の2曲や、あるいはラストの「インディゴラブストーリー」などで聴くことのできるミュートの効いた音色も、ミニマルなグルーヴに大きく貢献している。

 佐藤加入以前からインディゴのメンバーのプレイヤビリティは高く、ライブでバチバチとぶつかり合う様を見て、「ZAZEN BOYSみたいだなあ」と思っていたのだが、そもそもZAZEN BOYSというバンドもレッド・ツェッペリンのようなハードロックと、ヒップホップやファンクの融合を目指してスタートしたバンドであり、同じくザ・ローリング・ストーンズのようなロックンロールとファンクの融合を志向していた元ズボンズの松下敦の加入によって、その音楽性がさらに花開くというストーリーを辿っていった。今回のインディゴへの佐藤の加入を、それと照らし合わせることは可能だろう。そして、近年のブラックミュージックの流行によって、ジャズやヒップホップ周りのドラマーに注目が集まる中にあって、佐藤のような幅の広さを持つドラマーはなかなかいないであろうことも強調すべき点だ。現在のメンバー4人によるさらなる化学反応に期待したい。

(文=金子厚武)

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