『ハルジオンが咲く頃』リリース記念企画第二弾 深川麻衣卒業記念ロングインタビュー
乃木坂46深川麻衣が語り尽くす、旅立ちの決意「卒業は寂しいけど、悲しいことではない」
乃木坂46が通算14枚目のシングル『ハルジオンが咲く頃』をリリースする。本作では今年1月7日に卒業を発表した深川麻衣が最初で最後のセンターを務めており、彼女のイメージにぴったりな春らしい温かな楽曲に仕上がっている。リアルサウンドでは過去に二度、他のメンバーとともにインタビューに登場しているが、深川単独では今回が初めて。卒業を控えた今回はニューシングルの話題のみならず、乃木坂46やメンバーに対する思い、そして自身の卒業について現在の心境を語ってもらった。(西廣智一)
「これでシングルのレコーディングは最後なんだな」
──ニューシングル『ハルジオンが咲く頃』、聴かせていただきました。表題曲はすごく春にピッタリで、なおかつ卒業する深川さんのイメージにもピッタリな曲だと思いました。
深川:ありがとうございます。曲をいただく前は「どんな曲になるのかな? バラードとかしっとり系なのかな?」と思っていたんですけど、実際に聴いてみたらすごく春らしい曲で。アップテンポの明るい曲調だし、歌っているときもしんみりすることなく自然と笑顔になれて、すごくいい曲だなと思いました。
──最初に歌詞を読んだときは、どう思いましたか?
深川:私がというよりも、振り入れをする日に、周りのメンバーが歌詞カードを見て「これはまいまいの曲だね?」と言ってくれたのがすごく嬉しくて。でも、私がセンターでこの曲を歌える期間は、乃木坂46にいる間と限られてるので、卒業した後もちゃんと愛される曲になってくれたらいいなと思います。
──僕もほかのメンバーと一緒で、歌詞を読んだ瞬間に深川さんの顔が思い浮かびましたよ。
深川:本当ですか?(笑) 乃木坂にはここまでメンバーのことを思い浮かべられる歌詞ってあまりなかったし、ありがたいですね。
──シングルのレコーディングはこれが最後になるわけですが、初めてのセンターとしてのレコーディングはいかがでしたか?
深川:やっぱり、いつもより緊張しました。レコーディング前夜も部屋の加湿器をつけて、風邪をひかないようにしなきゃと気をつけて、「ああ、これでシングルのレコーディングは最後なんだな」ってことを自分に言い聞かせながら、心を込めて歌いました。でも、いざすべて終わってみたらすごく寂しくなって。
──なるほど。そういう意味ではミュージックビデオ撮影もこれが最後でしたものね。「ハルジオンが咲く頃」のMVはストーリー仕立てになっていますが、これまた涙腺を刺激する内容で。
深川:えへへ。(桜井)玲香もさっき、同じことを言ってました(笑)。しかも映像もすごくキレイですものね。実は女性の監督さんに表題曲のMVを撮ってもらうのって、今回が初めてなんですよ。
──以前、西野七瀬さんのソロ曲「ごめんね ずっと…」のMVも手がけた山戸結希さんが監督なんですよね。
深川:はい。女性目線ならではの柔らかさがあるし、しかも袴もみんな色とりどりで、映像がすごくキレイだなって思いました。そういえば今回のなーちゃん(西野)のソロ曲(「釣り堀」)も女性の監督さん(永田琴)で、個人PVも女性の監督さんが多いんです。
──そうなんですね。今回のMVは見方によってはちょっと百合っぽさもあるんだけど、いやらしさが感じられないというか。映像としてのキレイさが際立っているから、そのへんがあまり気にならないんですよね。
深川:そうなんですよ。でも演じてるほうは、ちょっとドキドキしちゃいましたけど(笑)。
「堀とのシーンはバトンタッチの意味合いが強いのかな」
──MVのストーリーは深川さんの卒業ともリンクする内容ですが、ただ去っていくだけではなくて「次の世代に託す」意味合いも含まれてます。
深川:そうですね、最後のシーンは特に。
──堀未央奈さんと手をつなぐシーンですよね。あの振り付けは『ミュージックステーション』放送後にも「どういう意味なんだろう?」とかなり話題になりました。
深川:『Mステ』の翌日がちょうど京都で握手会だったんですけど、そこでもファンの方々からいろいろ質問されました(笑)。あれは次の世代に未来を託すじゃないですけども、1期生と2期生というのがポイントだと思っていて。これからのことを頼んだよっていうバトンタッチの意味合いが強いのかなと、個人的には思ってます。でも観る人によっていろんな解釈ができると思うし、自分はこうなんじゃないかっていうのも想像していただいて、好きな感じに受け取ってもらえてもいいんじゃないかなと思ってます。
──1期生から2期生へのバトンタッチという現実と、MVの中での深川さんと堀さんとの仮想の物語が並行しているから、そこでまたいろんな解釈ができそうですしね。
深川:そうなんです。しかもあの場面ってテレビサイズだと、最後に2人で出てきて歩く場面の尺が短いから、“託してる感”をどううまく見せるかが難しくて。ちゃんと思いが伝わるようにと、首のちょっとした振り返り具合も含めて、何度も練習したんです。
──確かに『Mステ』でのパフォーマンスとMVでのパフォーマンスとでは、印象が違いましたね。それにしても、こういった和装は乃木坂46の持つ雰囲気にすごく合ってると思いますよ。
深川:本当ですか? 嬉しい。ああいう和の雰囲気は私も大好きです。しかも大正時代の卒業式の雰囲気と、ちょっと現代的なセーラー服の雰囲気がうまく混ざり合っていて、個人的にもいいなって思いました。
──そして、楽曲が終わった後に出てくる最後のシーン。深川さんひとりで乃木坂を歩く場面ですが、あれはちょっとファンにはたまらないんじゃないかと思いました。
深川:ふふふ。これだけ別の日に乃木坂に行って、最初から最後までワンカットで撮りました。あれは道の向こうにメンバーみんなが立っているのを想像しながら撮ったんです。
──だからこその、あの涙なんですね。しかもあの場所は乃木坂46の最終オーディションが行われた、深川さんにとって原点と言える場所ですもんね。
深川:そうです。乃木坂46にとって関わりが深い場所なので、そういう場所で最後のMVが撮影できて本当に良かったと思います。