KAT-TUN現体制は、ヴォーカルグループとして魅力的だーー新作収録曲を徹底分析
ジャニーズにおける海外作家の起用といえば、修二と彰の2005年作「青春アミーゴ」が、歌謡曲然としながらも実はスウェーデンの作家チームとの共作であったことをまず思い出します。以降も、ジャニーズはスウェーデンをはじめとする海外作家を多く起用してきました。
今年でCDデビュー10周年を迎えるKAT-TUN。2006年の彼らのデビュー・シングル『Real Face』は、スガシカオ作詞、松本孝弘(B'z)作曲でした。同年のサード・シングル『僕らの街で』は、小田和正による作詞作曲編曲。2007年の5枚目のシングル『Keep the faith』は氷室京介作曲であるなど、初期においては大物ミュージシャンを作家に迎えていました。
しかし、以降はネームバリューのある作家よりも、海外作家を起用していく姿勢が明確になっています。その結果、サウンドがドメスティックにならないため、KAT-TUNのアジア圏での人気を支えている要素のひとつにもなっているのではないかとも考えられます。メロディーやサウンドに言語は関係がなく、それはヴォーカル・スタイルにも言えることです。そうした制作陣に支えられた、高いクオリティのヴォーカル・グループであるKAT-TUNの現在の編成が、次の「UNLOCK」で終わることは残念ですが、まずはやはり海外作家も作曲陣に並ぶ「UNLOCK」が届けられることを待ちたいと思います。すでに高いアベレージが保証されているも同然なのですから。
■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter