ORESAMA 1stアルバム『oresama』リリースインタビュー
ORESAMAの目指すJ-POP像とは?「『自分がナイル・ロジャースならどうする?』と常に考えたい」
「トラップ・ミュージックやフューチャーベースをJ-POPに落とし込むのは難しい」
――アルバムは1曲目が「KARAKURI」で始まって、そのリプライズである「カラクリ」がラストに収録されていますよね。この構成はどういうところから?
KOJIMA:1曲目の「KARAKURI」のSEバージョンというのは、ライブでもオープニングに演奏する曲なので、それを最初に持ってきたいというのがあって。ただ、そのSEバージョンはもともとあった曲を短くしたものだったので、短縮していない「カラクリ」を最後に出したいと。それで、聴き終わった後に、また1曲目の「KARAKURI」に戻るっていう流れを作れたら、という構成ですね。
――「カラクリ」という曲はアルバムの中でも歌謡曲っぽいメロディがエッセンスになっている感じがします。
KOJIMA:そうですね。しかもちょっと全体の中ではちょっと陰の要素がある曲だと思います。それが最初と最後にあるというところで、ORESAMAの陰と陽を醸し出せたんじゃないかなって。
――歌詞のイメージはどういうところから?
PON:やっぱりサウンドからですね。少し異色なところから始まるという。アニメのオープニングとかエンディングとかで流れるようなイメージで作りました。
――歌詞でいうと、アルバムを聴いていて印象的に感じたのが「迷子のババロア」でした。
PON:本当ですか? 私も「迷子のババロア」は気に入っているんです。ORESAMAは明るい曲が多いですけど、この曲はローテンポなゆっくりした曲で、そういう曲は自分に密接した歌詞になることが多くて。
――これはどういうところから書いていったんでしょう?
PON:渋谷を歩いてたときのことを思い出して歌詞にしました。渋谷って人が多いけど、誰も私のこと知らないし私のことを見ていない。人と人の距離は近いけれど心はすごく遠いみたいな。それが心地いいときもあるけれど、寂しく感じるときもある。その感じを書こうと思いました。
――ちなみに歌詞を書く上で自分が影響を受けたアーティストはいますか?
PON:作品に出てるかはわからないんですが、フジファブリックの志村さんの歌詞はすごく好きなんです。なんでもないことが歌詞になってるかと思ったら、パンチドランカーみたいな言葉が入ってきたりする。学生のときはずっと聴いてましたね。フジファブリックは歌詞サイトで出会ったんです。そこで検索で見つけた曲が「若者のすべて」で、そこから曲を聴いてハマって全部聴きました。
――こうしてお話を聴くと、単にカラフルでキャッチーじゃない、寂しかった切ない部分ってORESAMAにとっての大事なポイントでもあるわけですね。
KOJIMA:そうですね。狙ったわけでもなく、自然にそういう曲ができてくるので、そこは素直にアルバムに入れてあげるべきだなと。
――「あたまからモンスター」も不思議な世界観ですけれど、これは?
PON:「あたまからモンスター」は昔からあった曲で。1年前に自分が歌ったのと最近自分が歌ったので構成されてますね。
KOJIMA:イントロのサビのところで、1年前にPONちゃんが録った歌と最近録った歌を重ね合わせていて、「どうせなら昔の自分と共演してみたら?」みたいな。あの頃はメジャーデビュー前だったし、聴き手のこともあんまり意識してなくて、でも今は楽しんでもらおうという考え方が前に出てきた気がしますね。
――アルバムを作っていく中でもマインドが変わっていった。
KOJIMA:そうですね。リスナーに寄り添っていきたいという考え方が今はあるし、そういう変化はありますね。
PON:ORESAMAは“渋谷系”って言われることがありますが、私の勝手なイメージでは、渋谷系っていろんなスパイスを取り入れたポップスっていうイメージがあって。ということは、ORESAMAの音楽も、今後取り入れるものを変えればどんどん変化していくし進化していくと思っています。
――ORESAMAの音楽性、ディスコとファンクを絶妙に取り入れたJ-POPは、ここのところのムーヴメントになってきていますよね。そういう今っぽさは、どういう風に見ています?
KOJIMA:確かにディスコというか、ちょっと古い音楽からインスパイアされた曲は多いですよね。そこは、自分の好きなものが偶然流行にハマったのかなっていうのは思います。あとはやっぱりメロディを大切にしているので、そこは強く意識していきたいですね。
PON:私は、明るい中に寂しさを少し感じるようなポップスが今は求められているような感じがしていて。私もそこを追求していきたい。夢物語のようだけど、ちょっと寂しさを感じることができる歌詞を書きたいと思ってます。例えば「朝まで踊ろう」だったら、「どうしてその人は朝まで踊りたいんだろう……?」とか、そういうところまで垣間見せられるような歌詞、ですかね。
――KOJIMAさんには、今の半歩先とか一歩先を見据えて思ってることってあります?
KOJIMA:今はまだ日本にEDMの流れが残っていますよね。でも、海外のクラブ・シーンは、もうトラップ・ミュージックやフューチャーベースといったサウンドが主流になってきている。日本は少し遅れてそれがやってくると思いますが、J-POPにうまく落としこむのはなかなか難しいんですよね。だから時間がかかるのかなとも思っていて。その時々の流行のサウンド感には敏感なほうなので、楽曲に取り入れてくとは思います。常に考えたいのは、「じゃあ、そこにナイル・ロジャースがコラボしたらどうなるんだ?」っていうところなんですよね。ギターはあくまで真似事でしかないんですけど、自分がナイル・ロジャースになりきって、彼ならどうするだろうと考えて、いろんな流行の音楽を取り入れてみたいです。あくまで核はメロディなんで、サウンドはそうやって進めていこうと思っています。
(取材・文=柴 那典/撮影=細谷 聡(ConDollPhoto))
■リリース情報
ORESAMA
『oresama』
発売:12月2日
価格:¥2,000
1.KARAKURI
2.オオカミハート
3.Morning Call
4.Listen to my heart
5.ドラマチック
6.迷子のババロア
7.密告テレパシー
8.恋のあじ
9.あたまからモンスター
10.乙女シック
11.カラクリ
http://2-5-d.jp/oresama
■ イベント情報
『グラフィックガール×2.5D presents GIRLS DON'T CRY vol.2』
2015年12月3日(木)
会場:東京都 渋谷WWW
料金:前売 ¥3,000 当日 ¥3,500(共にドリンク代別)
出演:
ORESAMA
さユリ
livetune+
アリスムカイデ(DJ)
KASICO(VJ)
http://2-5-d.jp/graphic_girl/
■関連リンク
ORESAMA公式ホームページ
http://orsm.jp