音楽シーンの異端児・ディプロの正体とは? 主要プロジェクト「メジャー・レイザー」を軸に分析

「Lean On feat. MØ」/Major Lazer & DJ Snake

 そんな多種多様な音楽が掘り下げてきた彼がもっとも情熱を注ぎ込んでいるのが、ダンスホール・レゲエをサウンドの軸としたプロジェクト:メジャー・レイザーである。冒頭で触れた最新作『Peace Is the Mission』は、現在のディプロの音楽的志向が凝縮された1枚と言える。現在ビルボード・チャートの上位を駆け上がっている先行シングル「Lean On feat. MØ」は、ディプロ自身が「インドの人民へと文化へ対するオマージュ」と述べている通り、インドをモチーフにした楽曲。注目すべきは、ボーカルを務めているムー(MØ)。デンマーク出身のシンガーである彼女は、2013年にディプロのプロデュースによる「XXX 88」をリリースしており、「Lean On」のヒットでさらなる注目を集めている。また収録曲の中でも異彩を放つ「Too Original」は、スウェーデンの女性シンガー・エリファントをフィーチャー。スクリレックスとの共作「Only Getting Younger」などで知られるが、彼女もムー同様に同曲でさらなる飛躍を遂げるだろう。

「Too Original feat. Elliphant & Jovi Rockwell」/Major Lazer

 さらにアリアナ・グランデが客演した「All My Love」、エリー・ゴールディングが参加した「Powerful」など、US・UKを代表する人気女性シンガーの参加や、2チェインズやトラヴィス・スコットらが参加した「Night Riders」など、ヒップホップ勢とのコラボもそつなくこなす。このような鮮やかなコントラストを持てるのも、ディプロがアーティストたちから絶大な信頼を得ているからに他ならない。

 ダンスホール・レゲエの伝統を継承しながらも、ディプロ節での解釈を加えた革新的な新作『Peace Is the Mission』で、最先端のサウンドを味わっていただきたい。

 最後に、ディプロはゴシップでも世の中を楽しませてくれている。昨年、ディプロがクラウドファンディング・サイト「キックスターター」にて「テイラー・スウィフトに肉感的なお尻を」という、彼女の(貧相と噂の)お尻を“豊尻”させるためのキャンペーンをツイートしたことがきっかけで大炎上する事態にまで発展した。当時ディプロはケイティ・ペリーと付き合っていたと噂されており(ケイティとテイラーは犬猿の仲)、そのツイートに対し、テイラーと親友であるグラミー賞受賞シンガーであるロードが「あんたの小さいペニスをどうにかしたほうがいい」と噛み付ついた(なんとも豪華な出演陣の炎上戦となったが、内容はあまりにも子供っぽくてバカバカしいのが面白い)。その後、グラミー授賞式で和解したと報じられたが、雑誌『GQ』のインタビューで「テイラーのファンは最低だ。彼女のために死ねるという人間が5000万人もいて、俺を脅してきた。もうインターネットでクレイジーなことができないな。あいつらは北朝鮮軍よりタチが悪い」と吐き捨てた。こんな豪放磊落なスタイルこそ、ディプロが愛される理由もひとつでもある。異端児にして、いたずらっ子の面も持ち合わせる。いまこの男なくしてシーンは語れないのだ。

(文=中西英雄)

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Major Lazer『Peace Is the Mission』(Mad Decent)
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『Lean On [Remixes] (Japan Edition)』

■リリース情報
『Peace Is the Mission』
発売日:6月24日
価格:2,200円(+税)

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日本を代表するDJ KSUKEによる最新リミックスも収録したEPも7月31日に緊急リリース!
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