『ROLLYS ROCK CIRCUS』インタビュー

ROLLYが語る、70年代日本ロックへの深すぎる愛情「カバーアルバムを作るため家にスタジオを作った」

「サイモン&ガーファンクル並にボーカル重視で作った」

 それで今回この『ROLLY'S ROCK CIRCUS』は……今言ったようにアレンジの妙技をお見せしていたんですが、いざやろうとしたら、あまりにもオリジナルへの思いが深すぎて、いじることができなかった。こう変えればいいっていうアイディアは浮かぶんだけど、それは違うような気がしたわけ。

 今回は25周年を記念して、原点に戻って、中学時代の、本当にこれを聴いていた小僧が、今の自分のスキルを使ってやる、そういうものにしようと。だから今回 「アラベスク」と「恋のマジックポーション」以外は、BPMはオリジナルとまったく同じです。ガイドのドラムを組んでもらって、ガイドのピアノを入れて、まずボーカルから先にレコーディングした。

 そう、このアルバムを心置きなく作るために、自宅でレコーディングできるようにしたんです。外のスタジオだと予算の関係で「そろそろ」って言われるとかね。時間がないとイヤだったから、家にスタジオを作ろうと。最新型の機材を全部買って、歌も録れるようにして、ドラム以外は全部家で録りました。

 歌を先に入れたのは、たとえば現代のJ-POP、アイドルとかアニメ音楽全盛じゃないですか。あれは作家の方が発注されて、トラックを作って、歌がいちばん最後なのよね。ということは、ボーカル不在のままオケが作られる。音楽でいちばん大切なのは歌だと思うんですよ。歌が入ってないところにオケを作るから不安になる。不安になるからオケをものすごい音圧で分厚く作って、最後に頼りないボーカルが入る。ボーカルが入ってないからそうなる。

 だから僕はサイモン&ガーファンクル並にボーカル重視で作った。最初に歌とコーラスがあれば、そこにはあと何が必要か自ずと見えてくると思って。だから、すごくシンプルな音にしましたね。ギターとかのオーバーダブも極力少なくして。僕の血となり肉となった先輩たちのギター・フレーズを変えるわけにはいかんかったし、自分が本人になりきって弾きました。普段だったらもっといろいろ混ぜるんやけど、今回だけは……いつも、上半身と下半身と顔半分は全然違う人間のパーツを無理やりくっつけてフランケンシュタインみたいにしていたのが、今回は、基本的な骨格は同じひとりの人間だ、っていう感じにしましたね。でもお化粧のしかたとかは変える、それぐらいの感じで。

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