フロー・ライダーは“隠れトレンドセッター”だった? 5つの“ダー!”から検証

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 記念すべき10曲目の全米トップ10となったシングル 「G.D.F.R.」をはじめ、今夏にピッタリのアッパー・チューン「Once In A Lifetime」や、クリス・ブラウンを迎えた「Here It Is」など、すでに配信でヒットを記録している7曲を収録。さらには映画『ワイルド・スピード SKY MISSION』で効果的に挿入される前述「G.D.F.R.」のリミックスも追加したフロー・ライダーの最新作『My House』のジャパン・エディションが、先頃発売となった。

 ヒップホップとダンス・ミュージックを絶妙なさじ加減でクロスオーヴァーさせたサウンドと、唯一無二の速射砲を彷彿とさせる印象的なフロウ。そして、底抜けに明るいパーティ・ソングとポジティブなメッセージで世界を魅了するラッパーと言えば、そうフロー・ライダーその人。

 そんな〈ヒップホップ界ナンバーワンのテンアゲMC〉と呼び声高いワイルド野郎が、実は流行を仕掛ける“隠れトレンドセッター”だったという事実はご存知だろうか? 本稿では「フロー・ライダーの隠れトレンドセッターぶりを検証してみるんダー!」といったテイでワイルドに進めていきたい。

「一発屋なんて言わないで~実はとっても息が長いんダー~」

 映画『ステップ・アップ2:ザ・ストリート』(2007年)のサントラに収録された、T・ペインをフックに起用した激キャッチーなデビュー・シングル「Low」(邦題「今夜はロウ☆ロウ☆ロウ」)をご記憶だろうか。デビュー曲ながら全米シングル・チャート10週連続1位という記録を打ち立て、1週間47万ダウンロードの全米新記録を樹立した作品だ。そのあまりにもセンセーショナルなデビューゆえ、フロー・ライダーのことを“ワンヒット・ワンダー(一発屋)”と見る向きが多かったのも事実。しかし、それを一蹴するかのように「Elevator feat. Timbaland」「In The Ayer feat. will.i.am」のスマッシュ・ヒットを立て続けに生み、デビュー・アルバム『Mail On Sunday』(08年)は、見事アルバム・チャート初登場3位に食い込んだ。

 

 翌年09年にはセカンド・アルバム『R.O.O.T.S.』(邦題『俺のルーツ』)を発表。ファースト・シングル「Right Round」は、1週間で64万ダウンロードと自身の持つ全米記録を軽く更新、6週連続でチャート1位に輝いた。その後シングルカットされた「Sugar feat. Wynter」「Jump feat. Nelly Furtado」も安定のヒットを放ち、もはやその人気は不動のものとなった。

「来たる〈ヒップホップ×EDMムーヴメント〉~俺だって一肌脱いでるんダー~」

 世界最大級の音楽フェス『ULTRA MUSIC FESTIVAL』が、昨年日本初上陸を果たしたように、ここ日本でも定着した感のあるEDM。近年は世界中どこのチャートをも席巻するEDMだが、アメリカにおけるムーヴメントの先駆けとなったのは、ブラック・アイド・ピーズ「I Gotta Feeling」(09年)といって過言ではない。プロデュースを担ったのは、ご存知デヴィッド・ゲッタで、フロー・ライダーは彼をプロデューサーに招いた「Club Can't Handle Me」(2010年)でタッグを組み、EDMムーヴメントの底上げに大いに貢献した(その結果、長い歴史を持ちながらも、ある種、保守的であったビルボード・チャートに、いくつものEDM楽曲がランクインしたことは、革新的な出来事であった)。

 

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