姫乃たま「地下からのアイドル観察記」

17歳から主催イベントを続ける地下アイドル 姫乃たまがオーガナイザーとしての歩みを振り返る

2015年2月22日に行われた姫乃たまの誕生日イベント『姫乃たまの22才がやって来る!ニャア!ニャア!ニャア!』の模様@阿佐ヶ谷ロフトA

 2015年2月22日、阿佐ヶ谷ロフトAにて、今年も自分で自分の誕生日イベントを開催しました。チケットはあろうことか前売り完売。当日券を求める問い合わせが、本番直前までやみませんでした。

 本来であれば、地下アイドルとしての成長を喜ぶべき出来事であると思うのですが、不思議なほど何の感慨もなく、そのかわりにオーガナイザーとしての歩みを思って、少しだけ目頭が熱くなりました。

 17才の誕生日に初めてイベントを主催してから、あっという間に22才の誕生日を迎えました。今回はいままであまりピックアップされることがなかった、オーガナイザーとしての姫乃たまの歩みを、基礎的な運営方法とともに失敗談なども交えつつ振り返ってみようと思います。……自分で。

 そもそも自分の誕生日に主催イベントって、とても図々しいと思うのですが、地下アイドル文化では常識だったりするのです。そして、誕生日やリリース以外のなんでもない日でも、地下アイドルの主催は、数多く開催されています。

 本当に地下アイドルが運営しているイベントもありますが、地下アイドル主催とは名ばかりで、実質の運営は事務所が行っている場合もあります。そういう時は、主催とされている地下アイドルがリストアップした共演したい人に、事務所からオファーをかけているのが大半ですが、事務所やライブハウスが、売り出したい演者をオファーしていて、主催者であるはずの地下アイドルが共演者と初対面なんてことも、しばしばあります。こういったイベントが開催される背景には、乱発されすぎて飽和状態になっている地下アイドルライブの中で、ただの事務所主催というだけでは観客への引きが弱いという現状があるようです。

 個人的には、そんなに倍率の高い世界で戦いたくないため、誕生日とライブハウスから依頼があった際にしかイベントは主催しないようにしています。ただしフリーランスで活動していることもあり、年に数回だけ主催するイベントは、共演者のオファーからタイムテーブルの作成、ライブハウスとの交渉、宣伝、そして出演まで、イベントに関するすべてのことをひとりでこなしています。と、書くと聞こえはいいですが、結局は自分の誕生日に周囲の人間を大いに巻き込んでいるだけの、ジャイアンリサイタルのような状態です。

 私がイベントの主催を始めたのは16才の頃でした。まだ駆け出しの地下アイドルで、サバイバル系のライブ(観客の投票で順位を争うような)に出演していた私は、優勝賞品として、ライブハウスの1日使用権をいただきました。当時の主催者から「誕生日も近いし、主催でもやってみたら?」と勧められたことがきっかけです。

 こうして17才の誕生日は、地下アイドルを中心に、プライベートで仲が良かったバンドを混ぜた音楽イベントを主催しました。私も初めて30分という長尺の出演時間(地下アイドルの出演時間は10~20分が相場)を自分のために設けました。それまでコンビニバイトくらいしか社会経験のなかった私は、フライヤー制作のためにデザイナーさんと打ち合わせたり、事務所にオファーメールを出したりと、大人たちとのやりとりで精一杯だった記憶があります。

 幸い周囲の人たちに恵まれ、開催まではスムーズに運びましたが、肝心のイベント開演後にスピーカーが壊れたのです。いきなり音が出ないライブハウスという異空間に放り出された私は、ない知恵を振り絞ってフリートークで場を繋ぎました。想定外の出来事に17歳の私は楽屋に戻ってから盛大に涙しましたが、その後、自分で司会進行をするようになったのは、この時のハプニングのおかげかもしれません。

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