嵐・櫻井翔はどんな音楽的挑戦をしてきた? ラップ詞で決意表明もしたソロ曲を振り返る

 その後、制作されたのは2010年リリースのアルバム『僕の見ている風景』に収録されている「T.A.B.O.O」。一曲を通じてセクシーな表現を追求した、櫻井の歴史の中でも冒険作と言っていいだろう。サウンドもニューレイヴ的なアプローチを取り入れた攻撃的なナンバーで、櫻井の甘いボーカルとのギャップがミスマッチで面白い。

 2011年にリリースされたアルバム『Beatuful World』に収録されているのは「このままもっと」。これまでの作風とはひと味違う、キュートでさわやかな一曲だ。恋愛中の幸せな気持ちを素直に歌ったこの楽曲は、モータウンサウンドが心地いい楽曲。ちなみに作曲家はのちのヒットシングル「Bittersweet」を書いた100+である。

 さらに2012年にリリースされたアルバム『Popcorn』に収録された「Fly on Friday」は、当時日本でも火が着き始めたポップなEDMを意識した、アッパー系のパーティーチューン。歌詞もパーティーをテーマとしており、きらびやかな言葉で彩られる櫻井のラップも印象的だ。

 そして櫻井の原点回帰とも言える作風になったのは、2013年リリースのアルバム『LOVE』収録の「suger and salt」。「Hip Pop Boogie」に続き、作曲と編曲を韻シストが手がけた意欲作だ。その年齢の櫻井だからこそ表現できるムーディーでセクシーなグルーヴが秀逸なアーバンソウル的な楽曲。ちなみにタイトルをそのまま訳すと“砂糖と塩”→転じて(メンバーの大野)智(さとし)ということで、大野への思いを歌った曲?と想像するファンも多いとか。

 最新のソロナンバーとなるのが2014年リリースのアルバム『THE DEGITARIAN』に収録された「Hey Yeah!」。ワン・ダイレクションあたりを彷彿とさせる、非常にリズミカルでポップな楽曲だ。アルバムのセミファイナルを飾るこの曲は「いつでもそばにいるから大丈夫」という、聴く者をまっすぐに応援する力強いメッセージソングに仕上がった。

 櫻井のソロ曲をまとめてみると、彼のルーツにあるヒップホップを基盤にしながら、様々なジャンルへ挑戦する意思がどの作品にも一貫して感じられる。嵐サウンドにいつも新しい風を吹き込む櫻井の、次なる挑戦はなんだろうか。

(文=岡野里衣子)

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