乃木坂46の2015年には何が待っている? “11th選抜”以後の動きを読む

予測困難!? 11thシングル選抜メンバーがついに

 そして、1月19日放送の『乃木坂って、どこ?』(通称・乃木どこ)ではいよいよ11thシングルの選抜発表が行われる。色々なところで様々な予想や議論が繰り広げられているだろうが、今回は今までで最も予想の難しい選抜ではないかと個人的に思っている。理由は3つの事情が絡み合ってるからだ。1つは世代交代に着手したいという運営の意向だ。華の94年組も成人を迎え、この春には現センターの生田絵梨花も高校を卒業する。実際に制服を着ているメンバーも選抜メンバーの中ではだいぶ少なくなってしまった。大人メンバーは個人での活躍の場を増やし、ソロでの活動を見据えた卒業メンバーが出てもおかしくない。そう考えると、現在の選抜メンバーから一新する可能性も大いにある。

 2つ目は、ヒエラルキーの境界線が曖昧になってきたことだ。一昨年までの乃木坂は、センター/福神/選抜/アンダー/研究生というクラスがある程度きっちり分かれていた。しかし、1期生の全員が選抜を経験したこと、アンダーがアンダーライブを通して目覚ましい活躍を見せていること、研究生が『16人のプリンシパル』や『アンダーライブ』、グラビア、モバメ(会員限定のメールサービス)、トークアプリ『755』など、活動の場をドンドン広げていることもあり、その境界線は良い意味でかなり曖昧なものとなった。アンダーの中心メンバーである伊藤万理華や井上小百合、齋藤飛鳥は選抜でも十分通用する活躍をし、研究生の中でも注目度の高い佐々木琴子や相良伊織は世代交代の旗手になりうる存在だ。

 ただやっかいなのは3つ目で、年末に紅白出場が叶わなかったという現実だ。2014年の一年間、「選抜メンバーが固定されすぎている」という声も受けつつ、それを継続したのは、乃木坂46の顔として彼女たちを世に知らしめるためであった。結果的に、それに成功し個人での活動も増えたわけだが、最終的に見据えていた紅白までは届かなかった。そう考えると、世代交代を遅らせてでも、あと1年中心メンバーを固定して万全の体制で紅白を目指そうとするのも一つのやり方だ。

 このような3つの要素が複雑に絡み、今回の選抜メンバーの予想を難しくしている、というのが筆者の考え方だ。新たな6人目のセンターが生まれるのか、「切り札」生田絵梨花のセンター継続か、8th&9thシングルで連作センターを務め、『握手人気No.1』で2014年自身にとって飛躍の年となった西野七瀬の返り咲きか、ライバルグループであるAKB48との兼任でもまれ、進化した生駒里奈がついにセンターに帰ってくるのか、いずれにしても答えは日曜日深夜に全て明かされる。

聖域の崩壊と新時代の幕開け

 昨年の乃木坂46を振り返る際に、生駒里奈と松井玲奈の兼任は、グループの体制とコンセプトを揺さぶった文字通りの大事件だった。今までで関わることはあってもどこかで線引きが存在していた両グループだったが、この大組閣による兼任でその聖域はなきものとなった。実際、兼任による効果は確かにあり、生駒が乃木坂46に還元できたことも多くある。一方でライバルというコンセプトは曖昧になり、『AKB48選抜総選挙』や『じゃんけん大会』、『AKB48紅白対抗歌合戦』など大規模なイベントに乃木坂46が登場する頻度は高くなっている。このまま、さらなる兼任やコラボレーションを通しAKBグループとしての色を高めていくのか。あるいは、AKB48界隈としてでなく「乃木坂46」としても充分な人気を集めているいま、AKB48から再び距離を置き独自色を強めていくのだろうか。

 アルバム発売やバースデーライブ、そして『乃木どこ』のDVD発売、「Documentary of 乃木坂」はどちらかといえば、この3年間の集大成となるイベントだ。そう考えると、“2015年版乃木坂46”のスタートは1月19日の選抜発表であり、今年一年を占う鍵となるだろう。果たして「透明な色」の彼女たちはこの1年でどのように成長し、どのようにその色を変えていくのだろうか。

■ポップス
平成生まれ、音楽業界勤務。Nogizaka Journalにて『乃木坂をよむ!』を寄稿。

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