「今後も絶対になくならないボーカルテクニック」 亀田誠治とゴスペラーズが“ビブラート”を語る
「ノンビブラート」は歌詞がストレートに伝わる?
続いて亀田は「ノンビブラートの魅力」として、荒井由実の「卒業写真」、奥田民生「イージューライダー」、AKB48「ヘビーローテーション」を題材に“あえてノンビブラートになっている”曲を紹介。ゴスペラーズ・黒沢薫がノンビブラートを使う理由として「歌詞がストレートに伝わってくる」と、声を震わせないことで歌い手の情念を感じさせず、聴き手にダイレクトに届くと説明。続けて北山はビブラートを使わないことは、歌い手にとってはリスキーであると語り、その理由として「ビブラートをかけないと、音程がシビアで、正確な音が要求される」と述べた。また、亀田は「奥田(民生)君が言ってたけど、バンドの中で負けない声を出そうと思っていたらああいう声になったらしい」と、奥田のボーカルが培われた経緯についても明かした。
セカオワ、きゃりー、Perfumeに共通することは?
また、亀田は近年のJ-POPに「意図的にビブラートを排除して、新しい魅力を生み出しているアーティストもいる」と語り、きゃりーぱみゅぱみゅの「ファッションモンスター」、SEKAI NO OWARIの「スターライトパレード」、Perfumeの「Magic of Love」を紹介。これらの楽曲について、亀田は「語尾がまっすぐで、機械的にも調整することで、近未来感・非現実的な世界感を演出し、クールジャパンの象徴となっている」と語ると、ゴスペラーズ・安岡優は「アニメーションなどで培われた日本人ならではの感性」と続け、海外での“Kawaiiブーム”や“クールジャパン”の一端を担っていると述べた。
番組の最後では、亀田が「歌がうまく聴こえるし、楽曲に様々な表情をつけることができる。日本人は貪欲にビブラートを取り入れてきたし愛着を持っている。今後も絶対になくならないボーカルテクニック」と締め、番組は終了した。
J-POPにおけるビブラートの重要性について紹介した今回の放送。次回11月27日の放送ではゆずをゲスト講師に迎え、「無敵のボーカル術~相棒編~」を講義する予定だ。
(文=向原康太)