木村カエラ、きゃりーから、タカハシマイまで……モデル出身ミュージシャンの系譜を追う
昨今バラエティ番組に出演している女性タレントや、映画/ドラマで活躍する女優たち。彼女たちの出自を見ていると、雑誌モデル出身という経歴を持っている女の子たちのなんと多いことかと驚かされる。そして彼女たちのポテンシャルはテレビに出るだけにとどまらない。音楽の道に進む例も数多く報告されているのだ。ここではその系譜とともに、現在シーンで活躍するモデル出身ミュージシャンたちに迫ってみたい。
まずは、雑誌『Olive』等でのモデルを経て、97年にデビューしたChocolat。2枚目のシングル『ブルーでハッピーがいい』はロッテのガムのCMソングとなり、お茶の間にも広く浸透した。加地秀基やニール&イライザといった渋谷系の雄たちがこぞって楽曲提供したことでも話題に。のちにGREAT3の片寄明人と結婚。業界屈指のおしどり夫婦として知られ、現在はChocolat&Akitoとしても活躍中。ちなみに双子の妹・heacoもモデル兼歌手として活動していた。90年代はほかにも双子ユニット・FLIP-FLAPや元小室ファミリーのhitomiら、モデル出身ミュージシャンの先駆けが多く現れた時代と言えるかもしれない。
その後、04年には木村カエラがデビュー。幼いころから歌手志望だった彼女は、『CUTiE』や『SEVENTEEN』でのモデル活動を経て、長年の夢を実現させた。ロックテイストな楽曲と個性的なビジュアルイメージも相まって、デビュー初期より男女問わず幅広い支持を獲得。2度の産休を経ながらも、多くのヒット曲を世に送り出している。今年はデビュー10周年を迎え、名実ともに日本を代表する女性ミュージシャンの地位を確立したと言えるだろう。00年代デビューのモデル出身ミュージシャンには、ほかに土屋アンナなども挙げられる。
そして11年、きゃりーぱみゅぱみゅが登場する。彼女は『KERA!』『Zipper』といったいわゆる青文字系雑誌の読者モデルとして、デビュー以前より同年代の女の子たちから絶大な支持を集めていた。それが、上記の木村カエラがファンを公言したことや、スター発掘系のバラエティ番組に出演したことがきっかけとなって歌手デビューが決定。プロデューサーにPerfumeを手掛ける中田ヤスタカを迎えたことも相まって、瞬く間に“クール・ジャパン”の旗手として世界的スターとなり現在に至っている。さらに、彼女の登場はほかの読モ系アーティストの進出を促し、4人組バンド・Silent Siren、双子ユニット・AMIAYA、AMOYAMOらにも注目が集まった。
そして、これらの最新型とも言えるのが、Czecho No Republicのタカハシマイや、N'夙川BOYSのリンダdada。どちらも前述のきゃりー同様、青文字系雑誌を中心に活躍する現役モデルだ。これまで挙げた女性ミュージシャンと一線を画するのはバンドの一員であること。つまりパフォーマーとしての面よりも、プレイヤーとして顔が立っているのだ。「モデル→ミュージシャン」という構図ではなく、「モデル&ミュージシャン」という同列な関係も特徴的。ほかにはドラマーでシンガーという異色のスタイルを持つシシド・カフカなども登場している。