宇野維正の撮影現場レポート

SEKAI NO OWARI、初の映画作品 秘密のベールに包まれた『TOKYO FANTASY』とは?

 

「日本人の監督に依頼すると、きっとその監督が持っている理想のバンド像や好きなバンド像を、僕らに投影してしまうんじゃないかと思ったんです。SEKAI NO OWARIを何か特定の“そうであるべき姿”に撮られるのは嫌だった。だから、僕らとは文化圏も違って、僕らのことをほとんど知らない監督に、感じたままの姿を撮ってほしかったんです」

 撮影現場での取材なので実際に本編に使われているかは未定だが、その日の撮影ではメンバー4人が「ファンからの質問に答える」というシークエンスもあった。その中での、8歳の男の子からの「Fukaseさんはどうしてそんなにクールなんですか?」という質問へのFukaseの答えがとても印象的だった。「僕は誰にも負けないからね」。そこから一拍置いて、まるでだめ押しをするように「誰にもだよ!」。

 

 日本のバンドシーンだけじゃない、日本の音楽シーン全体でもない、「誰にも負けない」その毅然とした姿勢のまま、世界に飛び立とうとしている2014年のSEKAI NO OWARI。映画『TOKYO FANTASY』には、その本当の姿と、本物のファンタジーが詰め込まれているに違いない。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

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