各音楽誌選出の洋楽ベスト・アルバムを徹底比較! 見えてきた「2013年のベスト3枚」とは

 お次は『ミュージック・マガジン』が選んだ2013年ベスト・アルバム。

 上記の2誌とは違い、邦楽やダンス・ミュージック、歌謡曲、ヒップホップなど、細かくジャンル分けされているので、「ロック/アメリカ・カナダ」「ロック/イギリス・オーストラリア」の各ベスト10から上位5位をピックアップした。

●アメリカ・カナダ
1位「モダン・ヴァンパイア・オブ・ザ・シティ」ヴァンパイア・ウィークエンド
2位「ゴースト・オン・ゴースト」アイアン&ワイン
3位「ワールド・ブギ・イズ・カミング」ノース・ミシシッピ・オールスターズ
4位「リフレクター」アーケイド・ファイア
5位「エドワード・シャープ・アンド・ザ・マグネティック・ゼロズ」エドワード・シャープ・アンド・ザ・マグネティック・ゼロズ

●イギリス・オーストラリア
1位「ザ・ネクスト・デイ」デヴィッド・ボウイ
2位「スナップショット」ザ・ストライプス
3位「エー・エム」アークティック・モンキーズ
4位「シャングリ・ラ」ジェイク・バグ
5位「new」ポール・マッカートニー

 この号の表紙からも明らかなように、『ミュージック・マガジン』はデヴィッド・ボウイとポール・マッカートニー推し。2013年は何と言ってもデヴィッド・ボウイの復活が衝撃的だったのだろう。アーケイド・ファイアのアルバムにもゲスト参加し、古くからの音楽ファンには待ちに待ったアルバムであり、若い層にはデヴィッド・ボウイを発見する年であったと実感させられる。ちょっと変なのが、表紙にも描かれているのに、ダフト・パンクが「ハウス/テクノ/ブレークビーツ」の他、どの項にもランクインしていないところ。彼らの音を敢えて外すところもマガジンらしい、といえば、らしい、か。逆に言えば、それほど知名度のない、懐古的な音楽性を持ったアーティスト(例えばエドワード・シャープ・アンド・ザ・マグネティック・ゼロズ)がランクインしているところもマガジンらしい。

 言い忘れていたが、各誌が軒並みザ・ストライプスを注目株として推している。2103年にデビューした目玉的存在だが、ある程度の年齢に達しているリスナーにとって、さして目新しくないと思われる彼らの音楽性。若い人に活躍してもらいたい!という、プロリスナーの願いも込められているのだろうか。

The Strypes – You Can’t Judge A Book By The Cover

 というわけで、音楽雑誌からいつの間にか距離を置いてしまったという方々も、2013年の総括として、各誌が選んだベスト・アルバムと各誌の2013年の音楽シーン分析をチェックしてみてはいかがだろうか……としめたいところだが、少数のライター/編集者の好みが反映され、やや同人誌的な感覚で作られている雑誌『エレ・キング』のチャートを見てみると面白いことが分かった。

 編集方針と同じく、選定されたベスト10も偏っていて、ワン・オートリックス・ポイント・ネヴァー、ヤング・エコー、DJラシャド、インク.、メルト・ユアセルフ・ダウン、ローレル・ハロ、ジャズ・ドミュニスターズ、コリーン、ジュリア・ホルター、ルーク・ワイアットと、音楽を聴くことに対してかなり能動的なリスナーのためのランキング。

 非常に興味深いのは、11~20位までのランキングに、サヴェージズ、ヴァンパイア・ウィークエンド、ジェイク・バグが選定されていること。つまり、マニアックな層、音楽という泥沼に入り込んでしまったリスナーの耳にも届いたということは、この3組(人)が今年の本当のベスト3とも言えるのかもしれない。

Vampire Weekend – Step (Official Lyrics Video)

 そして結論。すべてのランンキングに顔を出したヴァンパイア・ウィークエンドが本当の2013年ベスト・アルバムということか。洋楽に疎い読者も、これを聴いて良い年を迎えてみては?
(文=真利夫)

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