『モネ展』櫻井孝宏、『プーシキン展』上坂すみれ……人気声優による美術展の音声ガイドの進化

 声優の櫻井孝宏が、7月14日から横浜美術館で開幕する展覧会『モネ それからの100年』の音声ガイドを担当する。本展以外にも、このところ人気声優が音声ガイドに起用される美術展を目にする機会が増えた。音声ガイドももちろん、アニメやナレーターなどと同じ“声の仕事”ではあるものの、ここ最近声優の起用が急増しているのはなぜなのだろうか。

 櫻井以外にも、先日まで開催されていた『プーシキン美術館展ーー旅するフランス風景画』では上坂すみれ、モネ展と同様に注目度の高い『没後50年 藤田嗣治展』では津田健次郎が音声ガイドを担当している。ほかにも、現在全国巡回中の『ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜』では石田彰、遡れば2016年の『ゴッホとゴーギャン展』では小野大輔と杉田智和など、錚々たる面々が美術展の音声ガイドに抜擢されている。

 もちろん、声優のみならず、俳優やタレントが音声ガイドを務めることも珍しくはない。これは、展示内容に興味のある美術ファン以外の比較的ライトな層にも展覧会に足を運んでもらうためには、非常に有効な手段だといえるだろう。同じように、人気声優が展覧会サポーターとなることで、彼らのファンが新規顧客となる可能性もある。さらに、そうした宣伝要素以外にも、“声の仕事”に特化しているという意味で、タレントよりも声優の方が音声ガイドに適任だとも言えるだろう。

 また、近年声優は“声の仕事”に留まらず、メディア露出やアーティスト活動、キャラクター性を活かしたタレント的な活動も活発になっている。前述した上坂すみれは、学生時代はロシア語専攻で生粋の“ロシアオタク”としても知られられており、その造詣の深さから、過去には『タモリ倶楽部』にゲスト出演を果たしている。櫻井孝宏も、幼い頃からアートに囲まれて育ち、普段美術館に足を運ぶことも少なくないという。そのためか、櫻井はモネ展以外にも『名作誕生-つながる日本美術』音声ガイドや宇宙ミュージアムTeNQ内のコンテンツでもナレーションを担当している。このように、各声優が美術展と非常に関わりの深い立ち位置にいるため、音声ガイドやサポーターとして就任した際の説得力も、より強固なものになっているのではないだろうか。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる