Ryu☆×kors k対談 外部コンポーザーの視点で語り合う「BEMANIシリーズ」の魅力

Ryu☆×kors k BEMANIを語る
BEMANIぴあ

 音楽ゲームの金字塔『beatmania』(コナミアミューズメント)の20周年を記念した、BEMANIシリーズ初のムック本『BEMANIぴあ』が2018年2月10日、発売された。同書は、リアルサウンド編集部のある株式会社blueprintが編集制作を担当。BEMANIシリーズの歴史をたどり、キーパーソンがその魅力を語りつくす一冊となっている。

 本記事では、同書に収められた「人気コンポーザー対談 Ryu☆×kors k」より一部を抜粋。外部コンポーザーとしてBEMANIシリーズを支え続けるふたりの、“BEMANI愛”あふれる対談をお届けしよう。

「ダンスミュージックの入り口として機能できるように」

――まずはBEMANIシリーズを最初に知ったときのことを聞かせてください。

Ryu☆:1997年ごろ、KONAMIが当時運営していた「チルコポルト」というゲームセンターに新作ゲームが載っている広報誌があって、そこに『beatmania』のことが書いてあったんです。広報誌では上から降ってくるオブジェが玉型で、今の『pop'n music』みたいだったんですが、最終的にリリースされたものは平たいオブジェで、「こっちのほうがタイミングが合わせやすいんだ」と思った記憶があります。そのあとに玉型オブジェの『pop'n music』が出たので驚きました(笑)。

Ryu☆

――リリース前のかなり早いタイミングで接点があったんですね。

Ryu☆:当時、僕はクラブに通い始めていた時期だったので、なんだか面白そうだと友だちと一緒に話していましたし、実際に稼働日の12月10日には、中洲のゲームセンターまで遊びに行ったのを覚えています。当時、初代『beatmania』はそこまで出回っていなくて、『beatmania 2ndMIX』から一気にいろんなところで見かけるようになりました。勢いもすごかったし、新作が出る間隔も短かったですね。1998年の3月に『beatmania 2ndMIX』が出て、その年の9月に『beatmania 3rdMIX』と『pop'n music』と『DanceDanceRevolution』が登場して。ゲームセンターに見たこともない大きな筐体が次々増えていくのは面白かったです。

kors k:カラオケ店にも置いてあったのを覚えてます。

Ryu☆:そうそう。一番驚いたのは、福岡の「イムズ」という、東京に例えるとルミネみたいなショッピング施設の、オシャレな雑貨屋さんの店頭に置いてあったこと。もちろん、照れることなんてなく「見ておけ!」みたいな気持ちでプレイしましたけど(笑)。

――kors kさんは、どんなきっかけでBEMANIシリーズを知ったんですか?

kors k:僕は高校受験を控えていた中学生のとき、塾をサボって友だちの家に入り浸っていて。そこで初めて家庭用の『beatmania』をプレイしたのがきっかけですね。当時から自分でDTMをやっていて、音楽ジャンルは幅広く知っていたので、面白そうだと思ったんです。当時の楽曲選択画面は、レコードを回してそこにいろんなジャンルの名称が書いてあるもので、専用のコントローラーもあって。「こんなゲームがあるんだ!」というアングラ感に惹かれて、『beatmania 3rdMIX』からはアーケードでプレイするようになりました。そこからさらに受験勉強をしなくなったんで、ある意味、人生を狂わされたゲームです(笑)。

――おふたりは『beatmania IIDX 3rd style』の公募企画で高く評価され、『beatmania IIDX 4th style』から外部コンポーザーとして参加しています。音楽ゲームの作り手側に回りたいと思った理由とは?

Ryu☆:『beatmania』に影響を受けて楽曲を作っていた部分もあったので、自然とそう思うようになりましたね。楽曲公募を知ったのは、〆切の1日前だったんですよ。大学のパソコン室でネットサーフィンしていて、『beatmania IIDX 3rd style』の公式ページを閲覧したときに見つけて、その日の帰り道には天神でRolandの「MC-307」というシーケンサーを買いました。時間もなかったので「今まで作った曲をリメイクしよう」と考えて、最適な曲が「starmine」だったんです。2000年の7月31日消印有効だったんですけど、7月31日の5時に速達で提出したという(笑)。

kors k:僕はRyu☆さんと違ってけっこう時間をかけましたね。初めて友だちの家で『beatmania』をプレイしたとき、「お前も音楽をやってるなら、これに音楽を出してみればいいじゃん」と軽く言われたのがずっと頭の中に残っていて。そこからゲームのヘビーユーザーになっていくなかで楽曲公募を知ったので、とにかくいろんなタイプの楽曲を作って送ったんです。その結果「Clione」という曲が採用されました。

――そこからおふたりはBEMANIシリーズの代表的なコンポーザーになっていきます。自身の転換点になった楽曲を挙げると?

Ryu☆:やっぱり「starmine」ですかね。その都度びっくりさせようとか、新鮮さを持たせようと思って作るんですけど、やっぱりいいメロディとキャッチーなものをという気持ちは現在も変わってないかもしれません。

kors k:僕はどの楽曲がというより、1タイトルに複数の楽曲を作るようになったことが大きい転機でした。デビューから2作くらいは1タイトル1曲だったのが、そのあと徐々に楽曲数をもらえるようになって。「この曲はみんなに気に入ってもらえるようなもの」、「この曲は自分の好きなことを最大限やるもの」、「この曲は歌ものに挑戦しよう」とか、それぞれの楽曲の役割を考えることができるようになったんです。そのなかでも、最新のトレンドの音やジャンルを紹介していくのが僕らの役割だと思っていて。

Ryu☆:BEMANIシリーズは好き勝手に架空のジャンル名を付ける人も多いんですけど(笑)、僕らはふたりとも実在するジャンル名を付けているんです。『beatmania』からクラブミュージック、ダンスミュージックを知ったし、ファンの方にもダンスミュージックの入り口として機能できるようになりたいので。

kors k:実在する最先端のジャンルを、ローカライズしながら伝えるのは大事ですよね。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる