『メガロボクス』でのワイルドな演技がたまらない 声優・細谷佳正、熱血漢キャラがハマる理由

 2018年春アニメで、声優・細谷佳正の存在感が際立っている。『されど罪人は竜と踊る』や『デビルズライン』『Caligula -カリギュラ-』など、今期も多くの作品に出演している細谷。中でも、『メガロボクス』の主人公ジョー/ジャンクドッグでのワイルドな演技がたまらなく魅力的だ。

『メガロボクス』

 これまで、爽やかな正統派イケメンから個性派キャラまで、幅広い役どころを演じてきた細谷。アイドルさながらの甘い顔立ちの彼だが、そうしたビジュアルに反して、どちらかといえば低音ボイスが特徴的で、男気溢れるキャラクターのハマりっぷりが抜群だ。

 学生時代は演劇部に在籍し、もともと舞台俳優志望だったという細谷。その後、『機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』で山寺宏一の演技に憧れた……というよりも、山寺演じる北辰のワープシーンに憧れて、「自分もワープしたい」という理由から、声優の道を志すようになったそうだ。

 デビュー後は吹き替えの仕事が中心だったが、2007年のOVA『テニスの王子様 Original Video Animation 全国大会篇Semifinal』の白石蔵ノ介役で、アニメ声優としての知名度を上げることとなった。以降、『刀語』の鑢七花役や『ちはやふる』の綿谷新役、『ハイキュー!!』シリーズの東峰旭役など、立て続けに話題作に出演している。

 現在放送中の『メガロボクス』は、名作ボクシング漫画『あしたのジョー』を原案として制作されたオリジナルアニメだ。細谷演じるジョー/ジャンクドッグは、地下競技場の八百長試合で生計を立てているアウトサイダー。まさに、“裏社会のヒーロー”的存在だろう。

 格闘家としての確かな実力があり、自身でその可能性を感じていながらも、現在の自分が置かれている不遇な状況を率先して変えようとはしないジョー/ジャンクドッグ。そのやや鬱屈した性格は、いわゆるポジティブな“ザ・主人公像”とはかけ離れている。だが、正統派ヒーローのように“完全無欠”ではないからこそ、ジョー/ジャンクドッグにはどこか親しみやすさが感じられ、視聴者の共感をより一層集めているようにも感じられる。細谷自身、「僕としても、その気持ちはよくわかる部分があって、とても魅力的なキャラクターだと思います」と、役柄について語っている。(引用:アニメハック|「メガロボクス」主演・細谷佳正が明かす“偽物が本物になる物語”の舞台裏

 このジョー/ジャンクドッグを見ていてふと脳裏に浮かぶのが、細谷が以前演じていた『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のオルガ・イツカだ。ジョー/ジャンクドッグと比較すれば、オルガの方がやり手で視野も広く、器用なタイプだろう。だが、身寄りのない孤児であり、反骨精神を原動力に表舞台ではなく裏社会で功をなしているさまなどは、両者に共通している。細谷自身、インタビューで得意な役柄について「母親がいない、でも求めている役……かなぁ?」と述べていることからも、こうした孤独でがむしゃらな役どころとの相性の良さがうかがえる(引用:ダ・ヴィンチニュース|細谷佳正さんに50の質問「声優の輪」【男性編・第1回】 )。

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