『ひよっこ』奥茨城村に咲いた笑顔の花 有村架純「2つの大丈夫」に込めたメッセージ

 NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』のヒロイン・みね子(有村架純)には、2つのあたたかい家族がある。生まれ育った奥茨城村で暮らす谷田部家と、東京の赤坂にあるあかね坂の人々だ。これまで、あかね荘に暮らしていた時子(佐久間由衣)、早苗(シシド・カフカ)が夢を叶え飛び立っていき、愛子(和久井映見)も省吾(佐々木蔵之介)と結婚してすぐ側にある牧野家に引越した。祐二(浅香航大)と啓輔(岡山天音)の漫画家コンビは売れっ子漫画家への階段を登り始め、担当編集者から締め切りを追われるほど。そして、あかね坂商店街にある中華料理屋の五郎(光石研)と安江(生田智子)夫婦には養子・茜(上杉美風)が訪れる。最終週の序盤では、幸せいっぱいのあかね坂が描かれてきた。そして、次に描かれるのが父・実(沢村一樹)から「見せたいものがあります」と呼び出されみね子が戻った、奥茨城の家族の幸せだ。

 谷田部家には、物語の第1話から問題があった。5年前の不作で農協に借金をしており、そのために実は東京に出稼ぎに出ていたのだ。さらに、その次に起こった悲劇が、実の失踪。子供たちを不安にさせまいと、みね子の母・美代子(木村佳乃)はひとりで実を探しに東京へ向かったが、実は寮に荷物を置いたまま、手がかりは一切なく、生きているかどうかも分からない。翌日、美代子が奥茨城に戻ると、みね子にその異変はすぐに気づかれてしまう。みね子は高校卒業後、実を探すため、そして実の代わり仕送りを送るために東京へいくことを決めた。

 みね子は給料のほとんどを仕送りとして送る生活を2年続ける。そしてようやく、実との再会が訪れるのだが、そこからまた、みね子たちは苦しみの淵に立たされた。実は、すべての記憶を失くし、別の女性と暮らしていたのだ。実は、東京に訪れた美代子とも再会するが、一度、みね子とあかね荘で暮らすことに。みね子と過ごすうちに自分のことが知りたくなっていった実。みね子は「私が話せんのは、父親としての谷田部実さんだよ。子どもの頃は茂爺ちゃんや宗男さんしか知らないし、それに男の人としての谷田部実は、お母ちゃんしか分からない」と告げた。実は「帰ってみっかな」そういって、やっと奥茨城の家族の元へ戻ることができた。

 奥茨城へ戻ってからも、再び家族になるまでには、それぞれにいろんな葛藤があったはず。だが、実に呼び出されてみね子が帰った奥茨城村では、家族の素直な笑顔が広がっていた。“谷田部家のフラワー革命”により、みね子は実から「今月から仕送りはしなくていいぞ。みね子が稼いだ金はお前のもんだ」と言われる。「何か不思議な気持ちでした。急にもういいって言われても、何か放り出されたみたいな気持ちになってしまって。それにバカみてえだけど、この花に私が負けたような気持ちにもなって」その時のみね子は、ちょっぴり複雑な気持ちを明かしていた。

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