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姫乃たまのウワサの濡れ場評011『あなたを待っています』

地下アイドルがキスシーンに挑んだ結果は? 姫乃たま『あなたを待っています』出演を経て

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 原稿が進まないので、どんどん溜まっていって、昨日締め切りのもの、今日締め切りのもの、加筆をお願いされて返ってきたもの、もはや何から手を付けたらよいのかわからなくなって、私もうライター向いてないんじゃないかなっていうか、映画とかAVとか漫画とかアイドルとか面白いテーマしか扱ってないくせに向いてないとかふて腐れてる時点で、これから先なんの仕事やっても楽しめないだろうし、私こうやってパソコンの前からどこにも行けないまま死んじゃうのかなー。と、思う日が月の半分くらいあります。もう何年も、そういう気持ちに耐えられなくなった時に開く漫画は、いましろたかしさんの『釣れんボーイ』です。

 いつでも、『釣れんボーイ』は私を救うでもなく、出口へのヒントを与えるでもなく、ただ同じ温度で私の体に沁みてきます。そこには淡々と、売れない漫画家であるヒマシロタケシの日常が描かれているだけです。趣味の釣りに行くために、仕事で漫画を描こうとしますが、机に向かっても、ギターに気を取られ、お菓子に気を取られ、次の瞬間には床でごろごろ。考える時間だけはたくさんあるので、なぜ働かないとお金が入ってこないのか悩んだり、道行く女に目を引かれたり、煩悩だけは次々と浮かび上がってきます。一話一話は、真面目に生きようとするほど、生活が馬鹿馬鹿しくなってしまう不条理な主人公がくすっと笑えますが、すべて読み終わった後には、無常感が心地よく残る作品です。

 ひとつ前の冬に、その作者であるいましろたかしさんが、映画を作るという噂を耳にしました。その頃から私は、『釣れんボーイ』好きが高じて、連載誌である『コミックビーム』で、漫画家さんにインタビューする仕事をさせてもらっていて、ちょうどいましろさんに初めて取材をする機会がありました。映画の話についても伺ったところ、返ってきたのが出演依頼だったのです。いましろさんの作品の一部になれる。それは思ってもみないことでした。私はその場で、出演を即決したのです。それが映画『あなたを待っています』でした。

 いましろさんの映画を作るなんて面白そうと集まったのは、プロデュースの松江哲明さんと山下敦弘さん、そして監督のいまおかしんじさんでした。撮影現場にも、役者さん、技術さん、スタッフさんが、主に面白そうだからという理由で集まっていました。みんなの期待を受けて、『あなたを待っています』には、いましろたかし節が炸裂しています。

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 この映画は、首都直下型地震と原発問題を危惧して、東京から地方へ脱出するために日々バイトに明け暮れる元役者でフリーターの男、西岡の話です。地震が怖い、地震を心配せずに暮らしている人間も怖い、お金が欲しい、体は弱い、女とやりたい。彼の中には様々な煩悩が渦巻いています。

 いつか必ず地震は来ます。それは日本に住んでいれば避けられないことです。しかし、いつ来るかわからない地震のことを考え続けていては生活ができないのも、また事実です。だから私達は、地震について考えたり考えなかったりしながら生活しています。そうして人々が暮らす東京の中で、西岡はただひたすらに地震のこと(時々、女のこと)を考えて、みんなを馬鹿だと思っています。しかし、彼が熱心になればなるほど、周りのテンションは彼と遠ざかっていくのです。彼の生活は徐々に不条理な方向へ転がっていきます。

 さて、台本の中で彼が苦悩している一方で、私もひとつの問題に見舞われていました。送られてきた台本の中に、キスシーンがあったのです。もちろん一瞬でファンの顔が脳裏に浮かびました。腐ってもアイドル業を営んでいる私が、キスなどしていいのでしょうか。今までグラビアの仕事で露出をすることはありましたが、人前で男性と接触することにはまた違った緊張感があります。いや、でも台本に書いてあるということは必要なシーンで、これは私の仕事なのです。頭の中でファンと制作陣の顔が渦巻きます。どうしたらいいんだ……。しかし、仕事は受けた以上、全力でやるのが重要です。私は決心しました。

      

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