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映画の“予告編”はどう作られる? 『ジェイソン・ボーン』制作担当者が語る裏事情

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 近年、日本では年間約1000作品以上の映画が公開されている。そんな数ある映画の中から、どの作品を劇場で観るかを決める、大きな判断基準のひとつになるのが、予告編だろう。映画館はもちろん、TVCMや映画の公式サイト、近年はSNSなどでも目にすることが多い予告編。しかし、映画がどのように制作されているのかを知る機会があっても、予告編がどのように制作されているのかを知る機会はなかなかないだろう。そこで、リアルサウンド映画部では、洋邦問わず年間約30作品の予告編制作を手がけている制作会社ラフグラフィックスで、主に洋画作品の予告編を制作している瀧澤逸美氏にインタビュー。10月7日に公開された『ジェイソン・ボーン』を中心に、予告編制作にまつわる話を訊いた。

「『ジェイソン・ボーン』の予告編は重厚感や本物感を重視した」

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ーー予告編が世に出るタイミングは作品によっても違うと思いますが、だいたいどのようなスケジューリングで制作されているのでしょうか?

瀧澤:おっしゃるとおり、洋画の場合は、本国との公開時期の間隔などの兼ね合いもあり、作品によって異なります。配給会社から1年以上前に予告編制作のオファーをいただくこともありますが、だいたい1年前から半年前ぐらいのタイミングでオファーをいただくことが多いかもしれません。映画公開の半年前ぐらいに約30秒の特報と言われる映像、3ヶ月前ぐらいに約90秒の予告編、そして3週間ぐらい前に15秒や30秒のTVスポットを出すというのが大きな流れとしてあります。基本的にはその流れに沿って動いていく感じです。

ーー予告編の中でも、第1弾や第2弾などいくつか種類があるパターンもありますよね。

瀧澤:そうですね。邦画の場合は、約30秒の特報が2種類、90秒以上の予告編が1種類というケースが多いですが、洋画の場合は、本国のものにテロップを載せて字幕をつけて、そのままどんどん出していくことが結構あるので、本国が作った本数だけ出すこともあります。ただ、劇場限定だったりWEB限定だったり、出し方に関してはいろいろと工夫をしていますね。そういう意味では、邦画と洋画では予告編に関しても大きな違いがあると言えるかもしれません。洋画はいつ何がくるかがわからないこともあるので、それが面白かったりします(笑)。

『ジェイソン・ボーン』First Look

ーー『ジェイソン・ボーン』でいうと、日本ではファーストルックと呼ばれるものが最初に公開されましたよね。

瀧澤:まさにこれは本国からもらった素材をそのまま使って、日本語の字幕だけを入れた特報にあたるものです。映画の公式サイトでは、特報のほかに、海外の予告編に字幕を入れた約140秒の海外トレーラーや、30秒のCMなどを見ることができますが、劇場を中心に流している90秒の日本限定予告編も制作しました。海外トレーラーは2分以上のものが多いのですが、日本の劇場では、90秒とかでなければ流せないことが多いんです。ちなみに、『ジェイソン・ボーン』はこれまで私が携わらせていただいた洋画の中で、制作した映像の本数が最も多い作品でした。

ーーそうなんですか?

瀧澤:特報や予告編、TVスポットのほかにも、instagramやFacebookなどの専用映像も何本か作ったんです。中でも、instagram専用映像の制作はチャレンジングでした。作業的には特報映像の画角を正方形にするだけなのですが、ただ単純に画面の真ん中で切り出すと、顔がはみ出たり、見せたいものが切れてしまう。なので、どこを中心に切り出すか、1カットずつ考えなければいけませんでした。それに、SNSはスマホで見る人がほとんどなので、字幕も通常の倍以上の大きさにしたりして、新たな挑戦となりました。

ーー最も見られる映像はやはりTVスポットなのでしょうか?

瀧澤:そうですね、TVスポットは一番見られる可能性が高いです。ただ、TVスポットは、“ながら見”が圧倒的に多くて、注意して見てくれる人がなかなかいないんですよね。いかに15秒や30秒のあいだ見てもらえるかを重視しなければいけないので、ナレーションや効果音など、“音”でインパクトを付けるように心がけています。また、『ジェイソン・ボーン』ではやっていませんが、TVスポットは、終盤に作品のタイトルが出たあと、“オチ”として1シーン入れることが多いんです。その1シーンが作品の方向性を表すので、そこにも注目していただけると嬉しいです。

『ジェイソン・ボーン』30秒CM「ComeBack」編

ーーどのような映像を作るかは、配給会社と相談しながら決めていくのですか。

瀧澤:基本的に、配給会社からいただいたオーダーに沿って作っていくことが多いですが、配給会社からのオーダー以前に、作品によっては様々な決まりがある場合もあります。例えば、『テッド2』なんかは、1作目の『テッド』が日本でも大ヒットしたので、日本の観客が好んでくれそうな予告編を作りやすかったですね。一方、今回の『ジェイソン・ボーン』のように、ポール・グリーングラス監督をはじめとする制作陣の意向が強い場合は、オリジナルのまま流すことが多いです。なので、字幕やコピーだけで日本の観客に届くものを制作しなければいけませんでした。『ボーン』シリーズはアクションが特徴的なので、今回、配給元の東宝東和さんからは、重厚感や本物感を出してほしいというオーダーをいただきました。私はこれまで『ワイルド・スピード』シリーズのような勢いのあるアクション映画の予告編を多く手がけてきたので、テロップにもバンバンCGを使うことが多かったんです。でも今回は、テロップを早く出し過ぎてしまうと疾走感が出てしまって、重厚感が薄れてしまう。なので、文字の大きさや流れるスピードなど、テロップを何回も調整しながら制作していきました。そこが最も難しかったポイントですね。

      

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