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『いつ恋』出演の永野芽郁、現役高校生にして社会人役を演じられる理由

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 現在16歳の現役高校生・永野芽郁が、フジテレビで放送中の月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』で20歳の船川玲美役に挑戦し、年齢以上に大人っぽい雰囲気を醸し出している。社会人の役柄を演じるのは初めてだが、その自然な演技は好評を得ている。

 永野は現在、雑誌『nicola』で専属モデルを務めつつ、映画『俺物語!!』や大河ドラマ『八重の桜』(NHK)に出演するなど、役者活動も積極的におこなっている。多くの人にとってはモデルのイメージが強いかもしれないが、幼い頃から『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』や『私の優しくない先輩』といった作品に出演しており、子役時代を含めると役者活動も長い。とはいえ、現役高校生ながら社会人を演じることができるのは、やはり驚きに価するだろう。

 なぜ彼女はこうも自然に大人の役を演じることができるのか。その理由は、映画『俺物語!!』で演じた大和凜子役を考察することで、よりはっきりと見えてくる。大和凜子は、鈴木亮平演じる剛田猛男に惚れられる女性で、かわいらしいピュアな雰囲気を漂わせた高校生という設定だ。永野はそんな凛子を、できる限り原作通りに再現しようとしていることが窺える。たとえば、「好き」や「ありがとう」というありふれた台詞でも、言葉のアクセントを調節することで凛子らしさを丁寧に表現しているし、表情をクローズアップするシーンでは、ちょっとした仕草にも男心をくすぐるポイントを忍ばせ、原作をふと想起させる。

 実際、大和凜子を演じるにあたって永野は、「ちょっとでも原作やアニメの凛子に近づけるように仕草や言葉のニュアンスを意識しました。言葉一つでもいろんな捉え方ができると思うので、その中で一番嫌みがない言い方になるように考えました」(引用:スターダストインタビュー)と述べている。女優としての永野は、自らの個性を前面に出すというより、自らを客観視した上で、キャラクターを作り込むタイプといえる。ともすれば実年齢に近い役柄のため、永野自身のパーソナリティが現れているのだと考えてしまいがちだが、役柄との間に距離があるほど、永野は実力を発揮する。

 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』での船川玲美役は、まさに永野の作り込みが功を奏したケースだ。有村架純演じる杉原音の同僚ケアワーカーという設定で、物事をハッキリ言う船川玲美には、大和凜子のような幼さは見られない。第6話では、本社勤務で上司に当たる井吹朝陽(西島隆弘)に対し、次のような一言を投げかけている。

「120時間も残業して残業代が出ません。勝手に残業したんだから当たり前だって。精神的に参って診断書を出しても甘えている証拠だって。私たちって消耗品なんですか?」

 うつむきながら淡々と台詞を喋る永野からは、船川が心身共にギリギリまで追い詰められていることが伝わってくる。彼女の背景にある痛々しい現実さえも想起させる姿に筆者も胸を痛めたものだ。こうした台詞は、相応の経験を積まなければリアリティを獲得し得ないものだが、永野が言うとちゃんと説得力が宿る。おそらく彼女が子役時代から培ってきた経験が、その役柄を作り込むのに役立ったはずだ。

 永野に限らず、子役上がりの役者は若い頃から年齢以上に大人びた雰囲気を身につけていることが多い。芸能界という厳しい競争の世界で、大人たちと対等に渡り合うことが、彼・彼女らを大人たらしめているのだろう。ときに子役は、普通の子ども以上に子どもっぽい表情も見せるが、それもあくまで大人に求められた子ども像を演じているに過ぎないのかもしれない。16歳にして、「私たちって消耗品なんですか?」という台詞にリアリティを宿せることが、幸か不幸かはよくわからないが、少なくとも女優として活躍する上では大きな武器になるはずである。

     
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