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音楽の振り幅が広いMUCCと、UKオルタナを軸に持つPlastic Tree V系シーン超え支持される理由

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 MUCCとPlastic Treeは、ともに90年代後半からヴィジュアル系シーンで活動しているバンドである。ほぼ同時期にシーンに登場したこの2バンドが、昨年、MUCCは結成20周年を、Plastic Treeはデビュー20周年を記念し、それぞれトリビュートアルバムをリリースした。興味深いことに、そこに参加した面々がどちらの作品とも、ヴィジュアル系のみならずバラエティに富んだラインナップであった。その顔ぶれが証明する通り、MUCCとPlastic Treeはヴィジュアル系の中でも特に、シーンを超えた認知度と支持を得ている。なぜ、この2バンドはヴィジュアル系ファン以外の人々をも惹きつけるのだろうか。

 MUCCとPlastic Treeといえば、どちらもcali≠gariに端を発したレーベル<密室ノイローゼ>や、イベント『東京地下室』と関わりが深く、また、互いのトリビュート作品にも参加し合っており、まさに盟友と言える仲だ。しかし、この2バンド、音楽性はまったく違う。

 まず、MUCCは、作品によって反映される音楽の振り幅がとても広い。「謡声」のようなパンクチューン、「ファズ」のようなダンスロック、メタルコアにエレクトロニカを掛け合わせた「ENDER ENDER」、さらには、フォークや歌謡曲のような憂いを感じさせるメロディラインなど、背景にある音楽がとにかく多様だ。トリビュートの面々も、POLYSICSやシンガーソングライターの矢野絢子、アニメ主題歌を通しての同士であろうGRANRODEOやFLOWなど、ジャンルやシーンを奔放に横断するMUCCのこれまでの活動が反映されている。

『Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~』

 一方、Plastic Treeは、UKオルタナという太い軸を持ち、そこから音楽性が大きく外れることのないバンドだ。作品によって、シューゲイザーやグランジなどの特色は出るものの、The CureやThe Stone Rosesなどの、主に80年代から90年代のUKバンドからの影響が感じられる作風という点では、まったくブレがない。だから、トリビュート作品からは、その揺るぎのなさに尊敬の念を抱く面々が参加した印象を受ける。特に、Plastic Treeと似た音楽嗜好を持つTHE NOVEMBERSやPELICAN FANCLUBらにとっては、Plastic Treeの存在はひとつの指針だろう。

 このように、MUCCとPlastic Treeは、音楽性も違えば活動姿勢も異なる。しかしながら、重要な共通項がある。それは、影響を受けた音楽やルーツとなる音楽を、自分たちの作品に反映させることに貪欲なところだ。しかも、両バンドとも、それが分かりやすくサウンドに表れる。例えば、MUCCは、「アルカディア」でDAISHI DANCEをフィーチャリングし大胆にEDMを取り入れたり、Plastic Treeは、「Thirteenth Friday」や「アンドロメタモルフォーゼ」から、My Bloody Valentineなどのシューゲイザーの影響を強く感じる。

 加えて、どちらのバンドも、サウンドの独自性を決定づける個性的な歌声という武器を持っている。MUCCであれば、腹の底から振り絞る逹瑯の力強い歌声、Plastic Treeであれば、有村竜太朗の少し鼻にかかった繊細な歌声。タイプは違うが、両バンドともボーカリストに全幅の信頼があるからこそ、オリジナリティの追求にとらわれすぎることなく、自分たちのルーツや影響を素直に表現できるのではないだろうか。

 ヴィジュアル系シーンは、独自に発展してきた反面、ヴィジュアル系の外との関わりが薄くなりがちなシーンでもある。しかし、MUCCとPlastic Treeは、EDMやパンク、メタル、シューゲイザーなど、たとえヴィジュアル系に愛着がなくとも共有できる要素を、作品の中で分かりやすく提示している。背景にある音楽を捉えやすいということは、つまり、彼らがどういう音楽に心を動かされてきたのかが見えやすいということでもある。それが、MUCCとPlastic Treeがジャンルやシーンを超えて、共感や共鳴を集める理由なのではないだろうか。

■小川あかね
京都府在住。関西拠点の音楽レヴューサイトki-ftに参加しています。
Twitter:@akam00n

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