Roseliaと4U、コンテンツ発サブユニットはなぜ台頭? 音楽性のオリジナリティから紐解く
近年、メディアミックス作品より飛び出した音楽ユニットの活動が目覚ましい。なかでも、『BanG Dream!(バンドリ!)』(以下:バンドリ!)に登場し、11月29日に4枚目のシングル『ONENESS』をリリースするガールズバンドユニット・Roseliaの活躍ぶりには目を見張るものがある。
Roseliaは、湊友希那(相羽あいな)、氷川紗夜(工藤晴香)、今井リサ(遠藤ゆりか)、宇田川あこ(櫻川めぐ)、白金燐子(明坂聡美)からなる5人組ガールズバンドユニット。1stシングル『BLACK SHOUT』を皮切りに、これまで3枚のシングルをリリース。今年10月には千葉県・幕張イベントホールにて『Roselia 2nd Live Zeit』を開催した。
Roseliaの母体作品となる『バンドリ!』は、メインユニット・Poppin'Partyの成長を描く物語である。スマホリズムゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』(以下:ガルパ)をはじめとして、今年1月にはTOKYO MXほかでアニメ作品が放送。8月には『BanG Dream! 4th☆LIVE Miracle PARTY 2017! at 日本武道館』を開催し、約11,000人を動員した。Roseliaは、『ガルパ』に登場するオリジナルバンドであり、作中では”最高峰の技術力を持つ本格派バンド”と謳われている。本稿では、そのRoseliaがサブユニットという立ち位置にも関わらず、ここまで活動規模を拡大できた理由について考えてみたい。
Roseliaの魅力は、キャラクターボイスを務める声優のライブパフォーマンスにある。ライブでは、彼女たちが担当するキャラクターのパートを、実際に自分たちで演奏するのだ。活動初期には、十数年ぶりに譜面を読んだというキーボードの明坂聡美や、ベースは触ったことすらなかったという遠藤ゆりかなど、メンバー間の楽器経験はまちまち。それにも関わらず、ステージ上では巧みなパフォーマンスを披露し、Roseliaの持つゴシックロック~メタル楽曲の良さを存分に引き出している。出演声優のライブに関しても、作中の”最高峰の技術力を持つ本格派バンド”という謳い文句を掲げることができるだろう。“声優”と”本格派バンド”という、一見アンバランスな要素がうまく合わさっていること。そして、類いまれなライブの演奏クオリティこそが、Roseliaのもつ大きな魅力だ。
また、サブユニットの台頭を語る上で、同じくメディアミックス作品『Tokyo 7th シスターズ』(以下:ナナシス)および、同作に登場するユニットである4Uにも触れておきたい。4Uは、佐伯ヒナ(長縄まりあ)、鰐淵エモコ(吉岡茉祐)、九条ウメ(山下まみ)で構成されるガールズバンドユニット。Roseliaと同じく『ナナシス』におけるサブユニットという位置付けにあるが、11月29日には1stミニアルバム『The Present “4U”』をリリースし、来春には東京と大阪での1stライブ『4U 1st Live!!! 「The Pres“id”ent 4U」 in Osaka&Tokyo』を開催する。ユニット単位でのミニアルバムのリリースおよびワンマンライブの開催は、『ナナシス』始動以来初の試みである。
Roseliaと4U、両者がメインユニットに劣らぬ人気を博す理由の一つとして、作中ユニットとしての音楽的な独自性を挙げることができる。『バンドリ!』メインユニット・Poppin'Partyの楽曲は、バンドサウンドを主体としている。出演声優によるライブにて披露される「Alchemy」(Girls Dead Monster)などのカバー楽曲を含めても、楽曲ラインナップはJ-ROCKがほとんど。Roseliaのようなゴシックロック~メタル的な要素はあまり見られない。一方、『ナナシス』のメインユニットである777☆SISTERSは、アイドルグループとして登場。彼女たちの楽曲は、クラブミュージックに寄り添ったものがほとんどで、バンドサウンドを主体とする4Uの音楽ジャンルとは異なる。本格的なロックを追求するRoseliaと、アイドルソング中心の作品においてバンドサウンドを武器とする4U。メインユニットとの音楽的な振れ幅の大きさが、Roseliaや4Uに圧倒的なオリジナリティを与え、サブユニットである彼女たちの存在感を際立たせている。