小沢一敬が語る、THE BLUE HEARTSに憧れ続けた日々 「ブルーハーツが僕の人生を決定づけた」

小沢一敬、THE BLUE HEARTS愛を語る

 THE BLUE HEARTSのアルバム全8作品と真島昌利のソロアルバム2作、計10作品がアナログ復刻盤として発売された。1987年のデビューアルバム『THE BLUE HEARTS』から『YOUNG AND PRETTY』『TRAIN-TRAIN』といった代表作をはじめ、『BUST WASTE HIP』以降の5作品及び真島昌利のソロアルバム2作品は今回が初のアナログ化となる。

 2015年に30周年を迎え、今もなお多くのファンに愛され続けるTHE BLUE HEARTS。リアルサウンドでは、14歳の出会いから今に至るまで、ずっとTHE BLUE HEARTSに魅了され続けているというスピードワゴン・小沢一敬にインタビュー。THE BLUE HEARTSとの出会いから、甲本ヒロトと真島昌利から受けた影響、アナログ盤を聴いた印象などをたっぷりと語ってもらった。(編集部)【※インタビュー最後にチェキプレゼントあり】

「初めて聴いた時、なぜか涙が止まらなくなった」

小沢一敬

ーーTHE BLUE HEARTS(以下、ブルーハーツ)は1987年にデビューアルバム『THE BLUE HEARTS』をリリースしています。当時14歳の小沢さんはどんな音楽を聴いていましたか?

小沢一敬(以下、小沢):子どもの頃は音楽に関心がある方ではなくて、お姉ちゃんの影響で尾崎豊さんや長渕剛さんを聴いてました。当時はヤンキーブームだったし、尾崎豊がアイコン的な存在で、「擦れた少年」みたいなものが流行ってたんですよ。僕も学校をよくサボるタイプだったし、パジャマで登校するような生徒で(笑)。そんな時に幼馴染から「これ良いから聴いてみなよ」って『THE BLUE HEARTS』を録音したカセットテープを渡されたんです。とりあえず家に帰って、聴いてみようとプレイヤーにセットしたら、<ズッタンズズタン ズズタタズッタン>っていう「未来は僕らの手の中」のドラムが始まったの。聞いた瞬間に本当に訳がわからなくなっちゃって、枕に顔を押し付けて「ワァーー!」って叫んで……なぜか知らないけど涙が止まらなくなったんだよね。

ーーそれほど衝撃が大きかったんですね。

小沢:ブルーハーツで大好きな曲はいっぱいあるけど、一番大事な曲と言われたら「未来は僕らの手の中」。その頃はニューミュージックを中心に聴いてたから、パンクロックの音は衝撃的だった。ザ・クロマニヨンズ(以下、クロマニヨンズ)に「突然バーン」っていう曲があるんだけど、ブルーハーツとの出会いはまさにあんな感じ。そのカセットを何回も何回も巻き戻して聴いたし、それから好きになりすぎて『THE BLUE HEARTS』や『YOUNG AND PRETTY』、『TRAIN-TRAIN』くらいまでなら歌詞もほとんど覚えてる。ヒロト(甲本ヒロト)とマーシー(真島昌利)、どっちが書いた曲かも大体わかるよ。でも、テープをくれた友達もめちゃくちゃ好きだったみたいで、もらったテープのタイトル欄に「“伝説の”リンダリンダ」みたいなオリジナルの曲名につけてて、当時はずっと勘違いしてタイトルを覚えてた(笑)。

ーーそこからパンクロックに興味を?

小沢:ヒロトやマーシーのおかげで音楽そのものを好きになって、そこからSex Pistols(以下、ピストルズ)やThe Clash(以下、クラッシュ)も聴いたし、どんどんオイパンクにハマっていきました。愛知で暮らしていたからTHE STAR CLUBにとにかく夢中になって、あとSAも好きだったな。SAは一回解散してるんだけど、その頃はSAのTAISEI(Vo.)さんも19歳くらいで、ハックフィン(名古屋)での解散ライブのカセットも持ってるよ。好きなバンドはたくさんいるけど、結局一番なのはヒロトとマーシーなんだよね。

「ブルーハーツとカレーは似てるのかもしれない」

ーーブルーハーツから影響を受けることも多かったですか?

小沢:『THE BLUE HEARTS』を聴いてからバンドを組みました。当時はバンドブームもあったので。でもみんな貧乏だったから、ドラムの担当はダンボールでお手製のドラムセットを作って、菜箸をスティック代わりに練習してました。しかも、住んでた街が田舎だったから練習するスタジオも周りになくて、しょうがないから近くのビニールハウスで演奏する、みたいな。学園祭では、「リンダリンダ」「世界のまん中」「キスして欲しい」、あとLAUGHIN' NOSEの「GET THE GLORY」をあわせた4曲を延々と演り続けましたね。学園祭が終わった後は体育館に移動して演奏を続けるんですけど、ずっと終わらないのを見かねた先生がブレーカーを落とすんですよ、音がならないようにって。ギターとベースの音は鳴らないけど、真っ暗な体育館にドラムの音だけが鳴り響いて……「なんか漫画みたいだな」ってその時は思ってた。

ーー当時、なぜそこまでブルーハーツに夢中になったと思いますか?

小沢:うーん。探せばいろんな理由はあると思うけど、ブルーハーツが好きな理由を理屈で説明するのって、なんかブルーハーツに失礼じゃない? たとえば、カレーが好きな理由を説明しろって言われてもできないのと一緒。ブルーハーツは言葉で説明できるようなバンドじゃないし、カテゴライズもしたくない。なんで好きなのか聞かれても、理由はわからないんですよ。もしかしたらブルーハーツとカレーは似てるのかもしれない。

ーー多くの人に愛されているところは、カレーに似ているかもしれないですね。歌詞やサウンド面はどうですか?

小沢:ブルーハーツを青春ソングや応援ソングみたいに言う人はたくさんいるけど、そう捉えられるのが僕はイヤで。ブルーハーツの歌はそんなに安いものじゃないし、いちいちそういうことを口に出さないよ、このふたりは。たとえブルーハーツの曲に背中を押された人がいたとしても、きっとヒロトもマーシーも自分たちには関係ないと思っているんじゃないかな。これは個人的なイメージだけど、ふたりは背中を押そうとか、励まそうと思って曲を作ってるわけじゃないし、「お前らはお前らで勝手にやれよ!」って考えてると思う。周りの人をどうにかしようとする気もないし、そういう押し付けがないからブルーハーツの歌は良いんですよ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる