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デヴェンドラ・バンハート×never young beachが語り合う、自分だけの音の作り方「自分に正直であるかどうか」

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 ニュー・アルバム『エイプ・イン・ピンク・マーブル』が好評のデヴェンドラ・バンハートと、今年2ndアルバム『fam fam』をリリースした東京拠点の5人組、never young beachから、安部勇磨(Vo、Gu)、巽啓伍(Ba)、鈴木健人(Dr)との対談をお届けする。両者の交流は今年6月、デヴェンドラが初のアート・ブック『I Left My Noodle On Ramen Street』の日本での発売を記念して来日した際に、京都で行ったライブのオープニング・アクトをnever young beachが務めたことがきっかけ。もともとデヴェンドラの大ファンだった彼らからの熱烈なラブ・コールで実現したその時の対バンライブは、世代を超えたリスナーが多数かけつけて大盛況、デヴェンドラもすっかりご満悦だった(末筆ながら、筆者はその時に幕間のDJを担当させていただいた)。

 両者に共通する点は音楽的側面も含めて少なくない。とりわけ、仲間たちとコミューンを形成するように活動し、ファンやリスナーにも寛容な開かれたムードは互いに認め合う魅力のようだ。まずは自分たちのアナログ・レコードやスウェットなどのグッズを手土産にやってきた3人に、デヴェンドラから再会の握手を求めるところから対談はスタートした。(岡村詩野)

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「never young beachはテレヴィジョンがハワイで育った感じ」(デヴェンドラ・バンハート)

デヴェンドラ・バンハート(以下、デヴェンドラ):こんなことあまりないんだけど、ライブを見て君たちのことは本当にすぐ好きになったんだ。ステージで堂々と演奏しているんだけど、お客さんとちゃんと目線が同じだっていうのがいいなと思った。前に、何かのフェスに出た時、イギー・ポップが一緒だったんだけど、彼はただ攻撃的なパフォーマンスをするだけじゃないんだよ。ちゃんとお客さんに対する敬意を持って自分の方に引き入れて、一つになってから、一緒に攻撃する。そこが同じ様なことをやってるミュージシャンとは全然違う。君たちnever young beachにもそれと似た雰囲気を感じたんだ。僕らも踊るから、みんなも一緒に楽しもうよ、みたいなね。あと、楽曲に関しては、(バンドの)テレヴィジョンがハワイで育ったらこんな感じになるんじゃないかな?って思えるようなのがいいなって。すごくメロディが立ってて、フックがあって。

安部勇磨(以下、安部):嬉しいなあ!

鈴木健人(以下、鈴木):対バンさせてもらった時も、ライブが終わってから「テレヴィジョンとストロークスとビーチ・ボーイズが混ざり合ったようなバンドだ」って言ってくれて。全部そのへんが大好きだから嬉しかったですね。

安部:僕、高校生の終わりくらいに友達から教えてもらって。デヴェンドラ・バンハートっていいよって。それが『ホワット・ウィル・ウィー・ビー』(2009年)だったんです。もう、すごい衝撃で。「こんな音楽今まで聴いたことがない!」って。そこから、リトル・ジョイとか若いバンドからカエターノ・ヴェローゾみたいなルーツまでを知るようになったんですよ。いろいろ人脈を調べていったらマルセロ・カメーロのようなアーティストに出会ったり……とにかくデヴェンドラの音楽のおかげでいろんな音楽との広がりを知ることができたんです。

デヴェンドラ:そりゃあよかった! 僕も光栄だよ。僕は自分のライブもそうだし音楽もそうだけど、みんなのために、という意識でやってるんだ。僕も若い頃は、まあ、今もそうだけど、雑誌のインタビュー記事とかを読んで、いろいろ調べたりして学んでいったんだ。今度は僕の音楽を通じて、そうやって、音楽がつながっているというのがわかってくれてとても嬉しいよ。今はオススメを訊ねられたら「never young beach」って答えてるんだ(笑)。

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安部:嬉しい! 僕らがどれほどデヴェンドラに影響を受けたかって、「夏がそうさせた」って僕らの曲の“テンテンテケテケ~”ってフレーズはデヴェンドラの「ベイビー」を聴いて思いついたくらい。あと、デヴェンドラ、ボイス・パーカッションみたいなのやったりしてるでしょう?

デヴェンドラ:うん、もともとスケボーやってて、そこからスカとかレゲエに興味を持ったりしたから、リズムに対しては結構自覚的なんだ。こういう音楽をやってるからそうは思われないんだけどね。

安部:そういうところも「すげえな!」って思うんですよ。

鈴木:メロディだけじゃなくてリズムも面白い。僕なんかドラマーだからそういうところもすごく勉強になりますね。

デヴェンドラ:君たちはそもそもどういう仲間が集まって結成されたの?

安部:そもそも僕が一人で宅録をやっていて。それを聴いたみんなが、Twitterとかを通じて連絡をとって来てくれた、みたいな(笑)。

デヴェンドラ:ワオ! その前にやってたバンドはないの?

安部:ちゃんとしたのはないですね。ほんと、最初は僕一人の宅録だったんで。

デヴェンドラ:他のバンド名の候補はなかったの? いや、すごくいいバンド名だなと思ってるんだよ!

安部:“ヤシの木フラミンゴ”って名前は候補にありました。でも、みんなに反対されて(笑)。

デヴェンドラ:海の近くで育ったの?

安部:全然! シティ、シティ(笑)。ただ、アメリカ西海岸のような雰囲気とかに憧れはすごくあって。あと、デヴェンドラのレコーディング風景の写真を見て、ああいう感じの活動とか雰囲気がいいなあってずっと思ってきたというのはあります。デヴェンドラがフェンダーの70年代のヴァイブロラックス・リバーブのアンプを使っているのを見て、僕もそれの60年代のヤツを買いました(笑)。

デヴェンドラ:ナイス!

安部:マイクの立て方とかもすごく参考にしたり。とにかく録音の雰囲気とか様子がすごく良さそうなのが羨ましくて。仲間とか友達が普通にいて一緒に音を出したりしているじゃないですか。実際、バンド・メンバーも仲良しみたいだし。

デヴェンドラ:さっき、僕のライブはみんなのライブでもあるんだよ、という話をしたよね? そういうアティテュードって僕の哲学でもあるんだけど、90年代後半くらいから00年代にかけてのサンフランシスコ周辺とかで僕らの世代のアーティストの間で共有されてきた感覚なんだ。例えば、ギャラリーで展示をする場合でも、自分の作品だけじゃなく友達の作品も並べたり、友達のミュージシャンにそこで演奏をしてもらったりしている。僕のライブでも、途中から友達がステージにあがってきたりもするし、その友達の曲を演奏したりもするよ。ノア(・ジョージソン)とかジョサイア(・スタインブリック)みたいな今の僕に欠かせない友達の曲を僕がカバーして歌ってみたりね。時にはお客さんがどんどんステージに上がって来たりもするんだ。

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――『サマーソニック』での初来日公演は後半そんな感じでしたよね。オーディエンスがどんどんステージに上がって、みんなで踊ったりして。

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デヴェンドラ・バンハート

デヴェンドラ:そうそう、あの時がまさにそんな感じだったね。ただ、お客さんをあげることは最近はしなくなったんだ。というのも、僕は以前、67年製のレスポールを使っていたんだけど、ある日、ステージにあがってきたお客さんがそれを落としちゃって。あと、すっごい汚い手でギターを触ったり弾いたりされちゃって。もちろん、僕が「カモン!」って言ってあげたわけだから僕が悪いんだけど、でも、そうやってステージでギターをダメにされても、みんなの前だから怒るわけにもいかないじゃない?(笑) ま、そのレスポールは今はちゃんと直して保管してあるけど、それ以来、なかなかそういうことはしなくなっちゃった。でも、人前で自分の曲を演奏したことがない人、まだ誰の前でも演奏したことのない曲を持っている人には僕のステージでプレイしてほしいなっていう気持ちは今でもあるんだよ。だって、ミュージシャンなんてさ、ステージの上ではせいぜいシールドとかコードの絡まりに気をつけて直したり、手をキレイにしていたりするくらいで、あとは曲を披露するだけじゃない?自分だけが特別だなんて思わずに、みんなで共有すればいいって思うんだ。

安部:すっごいよくわかる! でも、デヴェンドラはあのレスポール、最近弾かないな~って思ってた。

デヴェンドラ:やっぱり長く活動していると色々変化も出てくるものだよ。今は前みたいにダンスできるようなアッパーな曲はライブでもあまりやらないし作らなくなったしね。

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