「ライブに依存しないアイドル」がシーンを変える? 評論家4氏が予測する2016年のアイドル界

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『第4回アイドル楽曲大賞2015』

 リアルサウンドでも筆者として活躍するピロスエ氏が主宰し、有志によるインターネット投票でアイドル楽曲の順位付けをする企画サイト第4回アイドル楽曲大賞2015について、アイドル専門ライターの岡島紳士氏と、音楽評論家の宗像明将氏に加え、日本各地を飛び回るDD(誰でも大好き)ヲタの中でも突出した活動が目立つガリバー氏を含む4人で行なわれた座談会の後編。前編「我々は80~90年代をまだ生きてる」4人のアイドル論客が語る、アイドル楽曲とシーンの変化では、2015年のアイドル楽曲・シーンの変容と『アイドル楽曲大賞』の「部門分け」についてトーク。後編では、インディーアイドルシーンに関する考察トークや、2016年のアイドル楽曲・シーンに期待することを語り合った。

アーティスト宣言をせずに、今いるフィールドで戦ってほしい(宗像)

――インディーズ部門のランキングを見ていると、大阪☆春夏秋冬の躍進が目立ちます。彼女たちは『TOKYO IDOL FESTIVAL』で新しくファンを獲得し、そのままワンマンの動員が増えたという例ですが、同じ事例は増えているのでしょうか。

ガリバー:中~大規模のアイドルイベントが増えたことで、結果を残したグループがそのままブレイクへつながっている気がします。それに、動員に直接つながらなくても、見本市的なイベントを通じて楽曲が印象に残り、投票に繋がっているケースもあるのではないでしょうか。

宗像:BiSHの「BiSH -星が瞬く夜に-」はライブの影響としか考えられないですからね。

ガリバー:わーすた「いぬねこ。青春真っ盛り」もBELLRING少女ハート「asthma」もライブ曲で、とくに合唱曲が多い印象です。

【OFFICIAL】BiSH『BiSH−星が瞬く夜に−』(TIF2015)

 

BELLRING少女ハート - asthma @ 夏の魔物2015

 

岡島:一方、もはやファンが会場で暴れたり、奇抜なパフォーマンスで悪目立ちをしても、その場だけの盛り上がりで終わってしまうことも多いです。

宗像:奇抜なパフォーマンスかどうかは別として、インディーズだと撮影フリー勢が多いという傾向もありますね。わーすたもSTEREO JAPANも、おやすみホログラムも撮影フリー。おやすみホログラム×Have a Nice Day!の「エメラルド」は東京アンダーグラウンドの最高峰楽曲といっても過言ではないものですが、彼らのライブは新宿LOFTの400人がマックスというくらいのキャパシティなので、ここで33票投票されているということは、YouTubeで見ている人が多いのかもしれないと思いました。

6/3渋谷www Have a Nice Day! x おやすみホログラム「エメラルド」

 

――おやホロもSTEREO JAPANも、ファンが投稿する映像のクオリティが異常に高いですよね。

岡島:ファンの方がいい映像を投稿して、グループのプロモーションをしているという例です。それ自体もファン活動であり、“遊び”なんですよね。

宗像:あと、個人的に気になったのは、ゆるめるモ!がこんなにいい曲ばかりを作っているのに、上位へランクインしていないこと。僕個人のランキングでは、4位が「Only You」だったんです。多分、ゆるめるモ!現場は平和なので、誰も投票を呼び掛けていないんでしょうね。輪を乱してまでそういうことをする人がいないんでしょうね。ひとりでもいいから気の狂った人が「みんな投票しようぜ!」って絶叫し始めるといいと思う。あと、アイドルのみなさんには、アーティスト宣言をせずに、今いるフィールドで戦ってほしいです。そうすれば結果的にアーティストとしての評価も付いてくるから。武藤彩未さんが言い出した「私はアーティストとしても通用するアイドルになりたい」というスタンスが、多分一番正しい。

20150920 Stereo Tokyo「肉フェス」15:20~ on the Stage

 

ゆるめるモ!(You'll Melt More!)『Only You(Zepp DiverCity Live Version)』(Official Music Video)

 

――アーティストとして活躍しているグループだと、Perfumeの「STAR TRAIN」が18位に入っています。これまで楽曲大賞ではなかなかランクインしていなかった彼女たちが突然高い順位を獲得したのはなぜでしょうか。

ガリバー:僕は、ドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume-WORLD TOUR 3rd DOCUMENT 』の影響が大きいと考えています。

宗像:ファンがエモまって投票したんでしょう。彼女たちは中田ヤスタカ(CAPSULE)がプロデュースしている楽曲を歌っているわけですが、この曲は従来のテクノポップ色がほぼない楽曲になっていて。「J-POPのPerfume」という新しい形を表現していますね。

ピロスエ:Perfumeで思い出したけど、『中田ヤスタカ楽曲大賞』という、有志がやっていたオマージュ企画がありましたね。2014年で終了したみたいですが。

[MV] Perfume 「STAR TRAIN」

 

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