ゆるめるモ!にもっと批評の言葉をーーもね&ちーぼう復活ライブを考察

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 ゆるめるモ!の現在のメンバーは6人である。ニューウェーブアイドルを標榜するゆるめるモ!というグループは、ステージ上にいる人数がよく変わってきたために、まずそういう説明から始めたほうがいいだろう。リアルサウンドでは、プロデューサーの田家大知のインタビュー(https://realsound.jp/2014/08/post-1025.html)や、メンバーのあのとバンドじゃないもん!のみさこの対談(https://realsound.jp/2014/10/post-1557.html)でおなじみのグループだ。

 2015年3月にリリースした、POLYSICSのハヤシヒロユキ作詞作曲編曲によるシングル『Hamidasumo!』がオリコンデイリーシングルランキングで13位になり、5月2日には赤坂BLITZでのワンマンライブも成功させたゆるめるモ!。しかし、その4日後の5月6日にはメンバーのちーぼうの活動休止、もねの休養が発表された。特にちーぼうの活動休止は当初1年半とされていたために、「1年半後にゆるめるモ!があるとは限らないだろう」と絶句したものだ。

 また赤坂BLITZでは、過去最大規模であるZepp DiverCity Tokyoでのワンマンライブが12月20日に開催されることも発表された。その瞬間、「このままの体制で行けるのだろうか」という不安が頭をよぎったが、その直後にメンバー2人が休むことになり、さすがに眩暈を覚えることになった。

 しかし、もねとちーぼうは無事に帰ってきた。彼女たちの復帰ライブが、8月28日に東新宿cat's holeで開催された『6めるモ!~ゆるめるモ!もねちー復帰祭~』だった。

 東新宿cat's holeに入場してみると、とにかく狭い。バーカウンター前の狭い通路を通ってフロアに行くと、100人入れば満員といった空間に、100人以上のファンが入っていた。その後、暑さに苦しむ状況になるとは、まだ予想していなかった。

 1曲目の「ゆるトロ(slo-モ!)」が始まっていよいよ6人のメンバーが登場……したはずだが見えない。ステージとフロアに段差がないので、ファンの頭頂部越しに、もねとちーぼうがいる6人編成であることをなんとか確認した。そこからカリブ風味の「べぜ~る」へ。もねの推し色のピンク、ちーぼうの推し色のオレンジのサイリウムの動きが激しい。中華風味の「1!2!かんふー!」も久しぶりに6人編成で聴けた。

 最新作『文学と破壊EP』のリード・トラック「夢なんて」は、ミドリカワ書房が作詞作曲をした楽曲。レコーディング以来初めて6人で歌うとメンバーは話していた。こうしたミディアム・ナンバーを生で聴くと、最近のボイトレの成果が如実に表れている。ゆるめるモ!の2014年のアルバム『Unforgettable Final Odyssey』は、発売当時『MUSIC MAGAZINE』のアルバム・レビューでの原田和典による採点で6点(満点は10点)だった。そこにはヴォーカルに対しての指摘があり、当時のゆるめるモ!の弱点をストレートに突かれた気がしたものだ。しかし、今ならば点数はもっと上がるだろう。「Refresh Your Jewellery Box」も「文学と破壊EP」収録曲で、ゆるめるモ!のバンド編成にも参加しているHALIFANIE(張替智広+小貫早智子)が作曲を担当。カーネーション人脈でもある彼らは、同時期にリリースされたYUKIのシングル「好きってなんだろう…涙」の作曲も担当していた。「Refresh Your Jewellery Box」は、もねの甘くクセの強いヴォーカルがアクセントになっている楽曲だ。対して、複雑な楽曲展開をする「眠たいCITY vs 読書日記」では、ちーぼうの低めの落ち着いたヴォーカルが心地いい。

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