セカオワの新曲「ANTI-HERO」は世界のスタンダードになる? リズムを刷新した渾身の一曲を分析

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SEKAI NO OWARI オフィシャルサイト

 SEKAI NO OWARIが、7月29日にリリースするシングル『ANTI-HERO』より、表題曲のMVを公開した。

SEKAI NO OWARI「ANTI-HERO」

 同曲は、映画の前編である『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』に書き下ろされた主題歌であり、ゴリラズやカサビアンのサウンドプロデュースを手掛けてきたダン・ジ・オートメイターとともに作り上げた楽曲。前作にあたるアルバム『Tree』からは大きく路線を変更し、R&Bやヒップホップの要素を取り入れた、海外シーン向けのサウンド構造に仕上がっている。同楽曲について、音楽ジャーナリストの柴那典氏は、発表段階で「『流行ものではないスタンダードな楽曲を制作する』という意思の表れ」と語っていたが、楽曲についてはこう分析する。

「セカオワは自身をキャラクターナイズする戦略を持ったバンドで、ダン・ジ・オートメイターのプロデュースワークの中ではやはりゴリラズのあり方に通じるものがあります。というのもあって、曲調も『Clint Eastwood』に近いものを感じます。エレクトロ・ポップとヒップホップが融合したサウンド感がハマっているし、ダン・ジ・オートメイター自身もセカオワを“3次元のゴリラズ”と解釈した音作りをしているのではないでしょうか。ダークなメロディと90年代ヒップホップのビート感をうまくミックスさせた同曲は、まさしく海外向けの『スタンダード』だといえます」

Gorillaz - Clint Eastwood

 また、リズムアプローチにも大きな変化がみられるという。

「初期のセカオワは、リズムのプロダクションに足腰の弱い部分がやや見受けられました。しかし、それに彼ら自身も気づいていたからこそ、『炎と森のカーニバル』で花火の音、『ピエロ』で心臓の音をサンプリングしてドラムの代わりにするなど、リズムへの概念をあえてずらしたのが『Tree』までの彼らでした。そして『Dragon Night』『ANTI-HERO』というここ最近のタームでは、世界レベルのプロデューサーとタッグを組むことにより、本格的なグルーヴを取り入れ、強靭な足腰を手に入れることに成功しました。海外進出も見えてきたこのタイミングで、課題を克服できたことは大きいですね」

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