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ネオ・ヴィジュアル系の旗手、MERRYはどう進化してきた? その異形のスタンスを振り返る

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 「今日もテツさんが来てくれてます」ダブルアンコールでのネロの紹介で、ライブハウスの天井に届きそうな長身シルエットが現れる。首にはコルセット、ベースはスタンドに固定しながらも、相変わらず涼しげな表情を見せるテツ。マイクはないがコーラスを取るように口ずさみながら弾いている。普段はステージ上であまり表情を見せない結生が、テツの側に寄って笑顔を見せながらギターを弾く。「群青」のキメ〈幸あれ〉でテツの肩を抱くガラ。2013年の負傷以降、療養のため、ライブ活動から離れていたテツだが、徐々に復帰していく旨が先日オフィシャルサイトにて発表されていた。直前まで出演判断が難しいために事前告知は控えられている。2015年3月20日の水戸LIGHT HOUSEに続いて、連日の嬉しいハプニングに、会場の「HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3」は大きく沸いた。完全復帰まではもう少し時間が掛かりそうだが、5人のMERRYが見られる日は、そう遠くないだろう。

ヴィジュアル系の異形

 2000年代初頭にネオ・ヴィジュアル系と呼ばれ、多くのバンドが華やかさやきらびやかさでシーンを彩っていく中で、相反する陰の部分を持つバンドたちがいた。“御三家”と呼ばれる、ムック、蜉蝣、そして一際異彩を放っていたのが、MERRYである。レトロ、エログロ、哀愁歌謡……和テイストのアンダーグラウンドなアクの強さと、異形なまでの自己を持ちながらも、どこか神経質で心配性で、時折弱さを覗かせる、ちょっと面倒臭い連中なのだ。しかし、孤高を貫くアーティストも多い中、そうした弱さは人間味を感じる部分でもあるだろう。奇をてっらた展開が紆余曲折を招き、時に“迷走”と呼ばれることもあるが、それすらも愛おしく思えてしまう、不思議な魅力を持つバンドなのである。

 彼らは洋楽志向や最先端の音楽を取り入れるといった、多くのバンドが目指すところとは、少し違うところを向いている。スケールアウトしていくようなオリエンタルなフレーズが絡み合う2本のギター。結生、健一、どちらがリードという役割でもなく、ギターヒーロー然としたものではない。派手で暑苦しく、暴走機関車を思わせる全身全霊のネロのドラム。涼しげで淡々と堅実にボトムを支えていくテツのベース。そこからはじき出されるものは、パンク、ハードコア、ハードロック……攻撃性の高いサウンドが軸であるのだが、ヴィジュアル系バンドに多く見受けられるモダンなサウンドやヘヴィさを前面に出すものでもない。オールドスクールなビートロックかと思えば、ジャズテイストに様変わりしたり、テクニカルなアンサンブルがいきなり飛び出したりと、一筋縄で行かない楽曲展開だ。プログレやポストロックといった技巧派とは異なる、アレンジやリズムが凝ったロック、MERRYにしか成し得ないロックである。そこに乗るのは、極めて歌謡曲ライクなメロディーであり、しゃがれ声で色気のあるボーカル、ガラ。紙を思い切り破いたような狂気の叫びは“シャウト”や“グロウル”といったものよりも、変態的な呻き声といったところだろう。

 言葉を発せず、習字による筆談MC、墨汁を吐く、ステージに置かれた学習机での三点倒立、ステージ上の組まれたトラスによじ登り、ぶら下がる。ライブパフォーマンスを越えたガラの奇行は、観るものを引き込むどころか、逆に引かせるほどの強烈なインパクトを与える。漫画『リボンの騎士』『少女椿』の丸尾末広によるアートワークやCDジャケットにパンツまで履かせる、という作品にまで及ぶやりたい放題のこだわりや奇想天外な発想が得体の知れないバンド像をさらに深めて行くのである。

     
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