神田沙也加、新ユニット結成の意図は? デビューライブで見せた“アーティスト”としての可能性

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左、神田沙也加。右、Billy。

 『アナと雪の女王』の王女アナ役の日本語吹替えを好演し、歌唱力、声質、演技といった面で高評価され一躍脚光を浴びている神田沙也加と、ギタリストのBillyによる新ユニット「TRUSTRICK」のデビューライブが、6月25日に下北沢GARDENにて行われた。

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 『TRUSTRICK Premiun Showcase』と銘打たれた同イベントは、二人のトークショーから幕を開けた。神田沙也加は、「『アナと雪の女王』で歌わせていただいた後、ちょうどオリジナルを出したいという意欲が湧いてきました。それで編成を変えようと思ってコンペティションを行い、Billyと一緒に活動することになりました。(中略)途中まで4人編成を考えていましたが、フットワークの軽さを考えて最終的にユニットという形になりました」と、同ユニットを結成したいきさつを説明。また、相方のBillyの作る曲を「とにかくメロがキャッチーで、歌詞もすごく書きやすい。イマジネーションをかき立てられる」と評した。一方、Billyは「神田沙也加さんはとにかく声が良いので、いかにしてそれを活かすかということを第一に考えて曲を書いている」と、作曲への姿勢を明かした。TRUSTRICKは、神田沙也加のボーカル力を活かしながらも、Billyの音楽的な遊び心を加えたユニットとなるようだ。また、一部メディアで二人の関係を噂する声があることに対しては「レコーディングの時は合宿みたいな感じでずっと一緒にいるけれど、友達です(笑)」と、交際を否定する一幕もあった。

 トーク終了の後は、現在公開されているPV「If -君が行くセカイ-」「beautiful dreamer」「ATLAS」を3本続けてフルバージョンで上映。映画用のカメラで撮影したという高画質の映像を、観客たちはじっくりと見入った。

TRUSTRICK / If -君が行くセカイ-【Music Video(short ver.)】

 そしていよいよ、ライブ本編へ。オープニングSEは、神田沙也加のウィスパーボイスを重ねたアンビエントな音像が特徴的な「Ever Blue」。神秘的な雰囲気の中で幕が上がり「If -君が行くセカイ-」が披露される。繊細なギターリフと、神田沙也加の透明感のある歌声がマッチした良質なサウンドが印象的だ。ブリティッシュ・ロックのようなどこか陰りのある雰囲気は、90年代のオルタナティブロックに影響を受けたというギタリストのBillyによってもたらされるのだろう。これまで神田沙也加のポップスを愛聴していたファンはもちろん、ロックファンにも好まれそうな楽曲だ。

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 2曲目には、ポップでアップテンポなロックナンバー「wonder」を披露。神田沙也加自身「こんなにアップテンポな曲は今までなかった」という曲であり、彼女にとって新境地であることが伺える。3曲目、「kissing」は厚みのあるシンセサウンドと軽快な四つ打ちが壮快なテクノポップ調の楽曲で、なるほど、ユニットの意図が段々と見えてくる。ジャンルにとらわれない幅広い楽曲で、神田沙也加の歌声のさまざまな魅力を引き出せるよう、工夫が凝らされているのだ。二人組なら、曲によって自由に編成を変えることも比較的容易である。「フットワークが良い」というのは、きっとそういう意味だろう。また、ギタリストのBillyのポップセンスとアート性のバランスも絶妙である。思わず口ずさみたくなるような素直なメロディと、エッジの効いた小技のコントラストが実に気持ち良く、彼女の歌声の新たな側面をうまく引き出しているのだ。

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