GPT-6 AstraはAGIに近づいたのか 音楽・3D制作の実例からDevDayへの期待まで

 OpenAIが9月3日に公開した最先端AIモデル「GPT-6 Astra」が、Xで注目を集めている。難しい問題を解く力に加え、音楽制作や3D制作に使える成果物が続々と披露されているためだ。国内の研究者やクリエイターの投稿からも、その変化が見えてくる。

AGIにどこまで近づいたのか

 AI研究者の今井翔太氏は、9月7日の投稿で「歴代GPTでもかなり上位で、少なくともGPT-5は完全に超えた」と評価した。また、研究開発者の間で「AGIに到達した」という趣旨の発言がこれほど多く出ている状況は、おそらく初めてではないかと述べている。

 AGIとは、人間のように幅広い課題を学び、対応できるAIを指す言葉だ。その実現への距離を探る試験の一つ「ARC-AGI-3」で、Astraは99.9%を記録した。この試験では、AIが未知のゲームを操作しながらルールや目標を見つけ、攻略する。知識の量だけでなく、初めての状況で考えて行動する力が問われる。

 ただし、99.9%は思考の途中経過を引き継ぐ仕組みを使った条件での成績で、共通の標準条件では62.7%だった。運営元はどちらも最高水準と評価する一方、高得点がAGI達成の証明になるわけではないと明記している。「AGIが完成した」と結論づけるには早いが、従来のAIが苦手としてきた課題で大きく前進したことは確かだ。

音楽・3D制作で見えてきた変化

 こうした数字以上に変化を実感しやすいのが、クリエイターによる制作例である。

 ゲーム音楽の作曲家・古代祐三氏は9月7日、以前はAIを使った音楽関連ツールの開発に苦労した経験を振り返り、「Astraの進化っぷりには驚くばかりです」と投稿した。さらに、AIを使った開発を本格的に再開するには、いまが好機だと評価している。

 前日には、自身の楽曲制作ツール「MUCOM88」を、音楽制作ソフトに組み込んで使える形にした動画も公開。「コーヒー飲んでる間、ほんの15分程度でVSTi版のmucom88できちゃったんだけど」と、その速さに驚きを示していた。

 面白いのは、ここで作られているのが、音楽を作るための「道具」だという点だ。欲しい機能を思いついても、開発の手間を考えて諦めていた人はいるだろう。自分の制作に合った道具を短時間で試せるなら、創作を始めるまでの準備も変わってくる。

 3D制作では、開発者のTom Krcha氏が、古い蒸気機関車の図面をAstraに渡し、3D制作ソフト「Blender」で再現させた例を公開している。本人によると、数分で3,295個の編集可能な部品からなるモデルができたという。

DevDayで何が発表されるのか

 Astraは、OpenAI自身の製品開発も加速させているという。同社でChatGPTや開発支援AI「Codex」などの製品開発を統括するTiboことThibault Sottiaux氏は、Astraの導入によって生産性が大幅に向上したと説明。一部の開発計画を6か月前倒しし、来年半ばに予定していた提供を、今年の開発者向けイベント「OpenAI DevDay 2026」に合わせて行うと明かした。

 開発者向けイベント「OpenAI DevDay 2026」は9月29日に開催され、サム・アルトマン氏も基調講演に登壇する予定だ。発表内容はまだわからないが、AIの進化が次の製品を生み出す速度まで変えている、という発言もされている。

 Astraをめぐる投稿から見えるのは、試験の成績向上と、実際の制作の変化が同時に起きていることだ。「いつか作ってみたい」と考えていたものを、まず動く形にしてみる。その入口がどこまで身近になるのか。DevDayでは、新たな性能の数字とともに、私たちが何を作れるようになるのかを確かめたい。

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