幸せな協力関係が“スーパーときめきヒロイン”を生み出した夜——ぶいすぽっ!橘ひなのワンマンライブ『Progress』レポート

 Tachibana Hinano One-Man Live Progressが、立川ステージガーデンにて、2026年8月15日と16日の2DAYSにわたって開催された。

 橘ひなのは次世代Virtual eSports Project 「ぶいすぽっ!」に所属するVTuber。普段はゲーム実況をメインに活動しているが、歌唱力の高さにも定評があり、オリジナル曲を公開したり、歌配信を行ったりもするマルチなタレントだ。2026年の4月27日には「ぶいすぽっ!」初のチャンネル登録者数100万人突破を達成し、話題になった。

 そんな彼女が開催した2日間のライブは、熱気に包まれ大盛り上がりだった。本稿では、その2日目の様子をレポートする。

パワフルな歌声とキュートな仕草が同居する伸びやかな歌声

 開演が近づくと、会場がピンクの光に包まれ始める。今回のグッズである「携帯型ライト」の明かりだ。このライトはいわゆる“ガラケー”の形を模して作られたもの。そう、橘ひなのは「平成文化」を愛する人物として広く知られている。彼女の好みが反映されたこのライトが無数に灯された会場を見ていると、まるで平成にタイムスリップしたかのような感覚にさせてくれる。

 そうこうしていると、ついにライブが始まる。橘ひなのは歌える音域が広く、パワーあふれるボーカルを得意とする。今回の一曲目はまさにその彼女の歌の魅力を一発で伝えてくれるものだった。2026年8月7日にリリースされたデジタルEP『Progress』に収録されている、橘ひなののオリジナル曲「Unready World」。疾走感のあるバンドサウンドが魅力のこの楽曲は、今回のライブで力強い一歩を踏み出した彼女のオープニングにぴったり。最後に入る高音パートの高らかな歌声を聴いたファンたちが歓声をあげる。一曲目にして圧倒される歌唱力を見せた彼女は、観客の心を鷲掴みにするクリティカルな一撃を放った。

 つづいて、羽のついたキュートなマイクを握りしめたまま、カバー曲「放課後ストライド」へと移行。ギターの疾走感が印象に残るこの楽曲を、一曲目同様にハツラツと歌う橘ひなの。アクセルはこの時点で既に全開だ。力強いボーカルは会場をみるみるうちに温めていった。続けてインカムマイクに切り替えて、「メランコリック」のカバーへ。全身を使えるようになったことで、ダンスを魅せるボーカルへとチェンジした。広いステージを右へ左へと移動して歌う彼女は、ガーリーな振り付けでダンス。配信のコメント欄には「かわいい!」の嵐が起こった。

 MCを挟んで歌ったのはオリジナル曲「拝啓、スタートライン」。DAY1のオープニングで歌われていたこの楽曲は、とても前向きなポップソングだ。つまずいても未来を切り開くために歩みを止めず進んでいく様子を歌ったこの曲には「あの日夢見た景色が道標になる」という歌詞がある。この日、ステージの上で華々しく歌を披露する橘ひなの。この姿は、もしかしたら彼女がかつて夢見ていた景色なのかもしれない。彼女がこの舞台を、自身の努力の積み重ねで掴み取ったことを考えると、グッと来るものがある。

 「拝啓、スタートライン」を歌い終えると、ここからは雰囲気が一転して、大得意な平成アニメソングの傑作を連発する。5曲目はアニメ『けいおん!』の挿入歌である「天使にふれたよ!(2010)」。出会いに感謝するエモ曲だ。「ありがとう」と思いをダイレクトに伝えるこの曲を聴いて、配信を視聴するファンたちはかなり心を掴まれたようで、「泣かせにくるのははやいよ」「スパートかけすぎじゃないっすか泣」といったコメントが書き込まれていた。5曲目にして、彼女の歌声と選曲は観客の心を大きく揺れ動かしていた。

 6曲目はアニメ『WHITE ALBUM』のオープニングテーマである水樹奈々の「深愛(2009年)」。高音パートが多く、ロングトーンや転調も入る難曲だが、彼女は豊かな表現力と歌唱力でしっかりとこの曲の良さを活かしたボーカルを聴かせてくれた。情感たっぷりに歌い上げるその歌声からは、彼女の“平成愛”が伝わってくるかのようだ。

 7曲目で、2024年8月に初披露された橘ひなの初のオリジナル楽曲「Love me?」が歌われる。女の子成分マシマシ、落ち着きのある中にキュートな部分がたっぷり練り込まれたこの楽曲は先の2曲と空気感が似ていることもあって、会場は静かに熱を高めていく。

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