「AIの必要性を感じない」最多は経営者だった 導入のカギを握る人ほど動かない“ジレンマ”

 ラクスルは、全国の従業員数2〜100名規模の中小企業の経営者・従業員300名を対象に実施した「中小企業のAI活用に関する実態調査」の結果を発表した。調査からは、経営層のAI活用状況が組織全体のAI推進体制と密接に関係している実態が明らかになった。

 本調査は、中小企業を取り巻く経営課題や業務実態に関する継続調査の一環として、AIの業務活用に着目して行われたもの。調査結果は全2回に分けて公開され、第1回ではAIの活用状況と組織としての方針・推進体制の実態が分析されている。

 中小企業におけるAIの浸透状況を見ると、業務へのAI活用経験を持つ割合は全体の73.3%にのぼった。一方で「積極的に活用している」と回答した割合は31.0%にとどまり、AIに触れてはいるものの日常的な業務への定着に至っていない層の多さが浮き彫りになった。


 業種別では、IT企業で「積極的に活用している」と回答したのは53.0%だったのに対し、IT企業以外では20.0%となり、33ポイントの差が開いた。年商規模別でも、年商3,000万円未満の企業では21.5%であるのに対し、年商1億円以上の企業では35.1%に達しており、業種や企業規模による活用格差が見られた。

 AIを「以前使ったが今はやめた」「ほぼ使っていない」「全く使っていない」と回答した層に理由を尋ねたところ、最多となったのは「必要性を感じない」で55.8%。「使いこなせる自信がない」(20.0%)や「使い方が分からない」(13.7%)といったスキル面の課題を大きく上回った。


 「必要性を感じない」と答えた層の職種は、「経営・経営企画」が45.3%と突出して高く、次いで「総務・庶務・事務」が22.6%、「IT・システム管理」が18.9%、「人事・労務」が17.0%、「経理・財務」が15.1%と続いた。AIの導入可否に関与する部門ほど、AIの必要性を感じていない実態がうかがえる。

 役職別で「積極的に活用している」と回答した割合を見ると、「代表・役員」は27.2%と全役職のなかで最も低く、「全く使っていない」と回答した割合も22.8%と最も高かった。組織の推進体制についても、「特に方針はないが各自で活用している」が33.0%、「方針も推進体制もない」が29.7%、「方針はあるが推進体制は整っていない」が29.0%となり、「明確な方針と推進体制がある」は8.3%にとどまった。

 方針・体制の有無は経営層のAI活用状況と連動しており、代表・役員がAIを「積極的に活用している」企業で「方針も推進体制もない」と回答した割合はわずか4.0%だった一方、代表・役員が「全く使っていない」企業では85.7%に達した。

 また、「方針も推進体制もない」企業に他社との比較を尋ねたところ、「かなり遅れている」が36.0%、「やや遅れている」が14.6%となり、過半数となる50.6%が「遅れている」と回答した。「わからない」との回答も30.3%にのぼった。


 企業規模別の課題も明らかになっている。「AIを業務フロー改善や自動化のレベルまで使いこなせている人が、社内にいると思いますか」という質問で、年商3,000万円未満の企業では「いない」が55.4%だったのに対し、年商1億円以上の企業では33.3%にとどまった。「方針も推進体制もない」との回答も、年商3,000万円未満で49.2%、年商1億円以上で21.8%と約2.3倍の差が見られ、年商規模が小さい企業ほどAI活用を支える人材や推進体制の整備が進んでいない実態がうかがえる。


 続く第2回では、中小企業のAI使いこなしに関する課題と、求められる支援がテーマとして紹介される予定。

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