NANAのテック・アルテミス 仕事に役立つBizテック観測所(第32回)
斬新な画面比率の折りたたみスマホ『HUAWEI Pura X』が示す新潮流 他メーカーも狙う「横広」のポテンシャル

折りたたみスマートフォンには、大きく分けて2つの形がある。『Galaxy Z Flip』シリーズのように、縦方向へ折りたたんでコンパクトに持ち歩ける「縦折り」。そして『Galaxy Z Fold』シリーズのように、本を開くように広げてタブレットのように使える「横折り」だ。
そこへ現れたのが、Huaweiの『Pura X』。一見すると縦折りスマートフォンだが、開くと一般的なスマートフォンより横幅が広い16:10ディスプレイを採用しており、従来の縦折りとも横折りとも少し違う使い心地を目指した製品だった。
『Pura X』の登場当初、変わった形のスマートフォンだという印象を受けた人も多かったのではないだろうか。しかし、この少し変わった形が、ここへ来て業界全体の新しい流れになろうとしている。
Samsungは7月1日に次期折りたたみスマートフォンのティザーを公開し、「New Shape」をキーワードに従来よりもワイドな新モデルを示唆している。正式発表前のため詳細は不明だが、公開された映像やリーク画像からは、これまでの『Galaxy Z Fold』シリーズとは異なる新しい画面比率になる可能性が高い。

一方でAppleも、初の折りたたみiPhoneを開発中とたびたび報じられている。こちらも正式発表はまだ先だが、複数のリークでは、開いた状態が従来のFold系スマートフォンより横幅の広い4:3に近い画面比率になると伝えられている。
もちろん現時点では、Samsungはティザー段階、Appleはリーク情報に基づく話だ。それでも興味深いのは、各社が似た方向へ向かおうとしていることだろう。
各社が「横広」の折りたたみを目指す理由

なぜ今、各社は画面を横へ広げようとしているのか。その理由は、横折りスマートフォンが抱えてきた課題にある。
これまでの横折りスマートフォンは、開いた画面が縦長になりやすく、動画では上下に黒帯が入り、電子書籍やWebサイトも思ったほど表示領域が広がらない。2つのアプリを並べた際も、画面の形状を十分に生かし切れているとは言い難かった。
そこで注目されているのが、画面を少し横長にするという発想だ。横幅が少し広がるだけで、動画は大きく表示しやすくなり、ブラウジングや電子書籍も読みやすくなる。2画面表示でも窮屈さが減り、開いた瞬間の使い勝手は小型タブレットに近づく。『Pura X』は、こうした発想をいち早く形にした一台だった。

横折りスマートフォンは、ここ数年で耐久性や薄型化、閉じた状態の使いやすさといった基礎的な課題を大幅に改善してきた。現在はそれらを踏まえた上で、「開いた画面をどう使いやすくするか」を競う段階へ入りつつある。SamsungやAppleがワイドな画面比率を目指しているとみられるのも、その流れの中にあると言えるだろう。
もっとも、両社が同じ目的で動いているわけではない。Samsungは長年展開してきた『Galaxy Z Fold』シリーズの経験を生かし、画面比率を見直すことで使い勝手をさらに高めようとしているように思われる。一方のAppleは、折りたたみiPhoneそのものが初挑戦となる見込みだ。リーク情報どおりの画面比率で登場すれば、新しいデバイス体験を提案する製品になる可能性もある。
折りたたみスマホの新たな競争軸になった「画面比率」

『Pura X』は、折りたたみスマートフォンに新しい選択肢を提示した一台だった。従来とは異なる画面比率は発売前こそ話題性が先行したものの、実際に触れたユーザーやレビューでは、その使い勝手を評価する声も少なくなかった。
その後、Samsungはワイドな新型Foldを示唆し、Appleも近い方向性の製品を開発していると報じられている。それぞれがHuaweiを手本にしたと断定することはできないが、「開いたときの使い心地」を見直そうとする流れは、業界全体で共通し始めているようにも見える。
折りたたみスマートフォンは今、新たな転換点を迎えようとしている。数年後に振り返ったとき、『Pura X』は少し変わったスマートフォンではなく、新しいトレンドをいち早く示した一台として語られているかもしれない。
























