おちまさと、賛否の半分は「意図している」 『LAST CALL』プロデュースで見えた、令和の時代も変わらない“ヒットの法則”

 『学校へ行こう!』『ガチンコ!』(ともにTBS系)や『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』(日本テレビ系)、『桑田佳祐の音楽寅さん 〜MUSIC TIGER〜』(フジテレビ系)など、人気テレビ番組の構成・企画を数多く手掛けてきた名プロデューサー・おちまさと氏。近年はビジネスの世界を主戦場とし、企業のブランディングやプロモーション、PR戦略、ファッションコラボ、ゲームプロデュースなど、多様なプロジェクトに参画し、たしかな成果を収めてきた。

 そんな中で2025年11月、溝口勇児氏が代表取締役を務める株式会社BACKSTAGEの取締役CCOに就任。12月にはキャバ嬢オーディションYouTube番組『LAST CALL』のプロデューサーを務めることが発表された。番組のプロデュースを担当するのは、実に18年ぶりとのこと。現在60歳。還暦を迎えて番組制作の第一線に舞い戻ってきた理由は何なのか。また、久しぶりの映像コンテンツ作りで感じた手ごたえとは――。本人にインタビューでじっくり話を聞いた。(こじへい)

『LAST CALL』プロデュースのきっかけは、溝口氏との出会い

――はじめに、18年ぶりに番組のプロデュースを手掛けることになった経緯から聞かせてください。

おちまさと(以下、おち):僕はこれまで企画色の強いテレビ番組を数多く手掛けてきました。たとえば、『学校へ行こう!』であれば学校の屋上で学生たちに叫ばせてみたり、『ガチンコ!』だったらヤンチャな若者に3カ月でプロボクサーになることを目指して特訓させたり。ですが、時代の変化とともに、テレビ業界のコンプライアンス強化とインターネットの発展が進み、そういったエッジの立った番組を作ることが難しい状況となりました。そこで、20年ほど前にテレビの世界で培った企画力をビジネスの世界で活かそうと考え、一般企業とのお仕事を増やしていきました。その結果、さまざまな企業のブランディングやCM制作を担当したり、顧問を務めたりとうまくいき、手ごたえを感じていたんです。そこから月日が流れて平穏な日々を送っていた中で、『BreakingDown』や『REAL VALUE』を見て、溝口(勇児)さんの存在を知りました。

 YouTubeで見た溝口さんへの第一印象は「声がいい」こと。それに、語彙力が豊富だと思いました。僕は『ガチンコ!』の企画を担当していたからわかるのですが、人って頭に血が上ると、理解不能なことを口走っちゃうことが多いんですよ(笑)。ところが、溝口さんは怒っているのにボキャブラリーの豊富さをキープしつつ、言い間違いがないし、なおかつ噛まない。「この人、何者なんだろう?」と興味がわき、気付けばファンになっていました。

――そこからどのようにして、溝口さんと知り合われたのでしょうか?

おち:たまたま共通の知人がいたんですよ。その方に僕が溝口さんのファンだと伝えたところ、溝口さんも僕が企画した番組を見てくださっていて、一度お会いすることになったんです。その初対面時に、溝口さんから『LAST CALL』の企画書を見せてくれました。番組のフォーマットや出演者はほぼ固まっていたのですが、「一緒にやってもらえませんか?」とお誘いいただいたんです。「いや、僕、キャバクラ行かないからなぁ……」と一度は断ったんですが、溝口さんに「いや、関係ないです」と押し切られまして(笑)。その後、何度かお会いする中で、僕なりのアイデアや意見をいくつかお伝えしたところ、溝口さんは「そんな意見があったんですね!」とすごく褒めてくれたんですよ。

溝口勇児は「昭和から来た令和の兄貴」

――具体的にどのようなアイデアを提案されたんですか?

おち:代表的なもので言うと、ひな壇に座るトップキャバ嬢たちがリアルタイムで本音を投稿する「本音LINE」システムです。僕はトークバラエティ『グータン』シリーズ(フジテレビ系)の企画・演出・プロデュースを担当していたこともあり、女性の“裏と表”が垣間見える瞬間がすごく好きなんですよ。なので、カメラの前では言えない本心をLINE形式で打ち込んでもらう仕組みを作りました。

 また、企画書の段階では高級キャバクラ店でロケを行う予定でしたが、それだと画(え)がチープになり、溝口さんが描いているリッチなビジョンが実現できないと考えて、テレビ局のスタジオで大掛かりなセットを組むことを提案しました。

――確かに、『LAST CALL』の空間は、YouTube番組とは思えないくらい豪華ですよね。

おち:セットには特に力を入れました。特にこだわったのはシャンデリアです。音楽特番『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)の会場みたいに天井からシャンデリアを吊るせないかと溝口さんに相談したら、2000万円以上かけて3基も買ってきちゃったんですよ。驚くと同時に「大丈夫ですか!? YouTubeですよね……?」と心配になったのを覚えています(笑)。

――実際にご一緒されてみて、溝口さんにどんな印象を持ちましたか?

おち:とにかく“兄貴感”がすごい。溝口さんは、昭和59年生まれのギリギリ昭和世代ということで、「昭和から来た令和の兄貴」というキャッチフレーズを付けたんですよ。いつの時代も、人々はメディアの中に「兄貴」を必ず一人、求めるもの。昔であれば、そのポジションに(ビート)たけしさんや(石橋)貴明さんがいた。でも今はぽっかりと空席になっている。そんな中で、現れた溝口さんには、19歳年上の僕から見ても兄貴感を感じます。そんな魅力的な人だからこそ、一緒に番組を作ることに決めたんです。

 僕の言うことをこれほど理解してくれる人に、久しぶりに会いました。彼はテレビ業界出身ではありませんが、数年間にわたって『BreakingDown』の運営を主導する中で番組制作のイロハを学び、今では編集もできるし、カメラのポジションも理解している。『LAST CALL』では僕と溝口さんの2人で同時に編集チェックをしているのですが、指摘するポイントが本当に“ドンズバ”。MCを務めながらディレクションができる人って、僕が仕事をした中では(石橋)貴明さんと(ビート)たけしさん以来なんですよ。そういった意味で、今最高のテレビマンだと思います。

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